
モンキーピーク2巻
ネタバレ感想
レクリエーション登山が、生死をかけた殺人サバイバルになってしまった。
製薬会社の社員たちが、一人また一人と猿に殺されていく中、最後に殺された辻の殺され方に不審な点があった。
内通者
宮田は感じた疑問を社長に伝えた。
鉈や弓矢を持っている猿が、なぜ今回に限って辻を撲殺したのか腑に落ちない。それに、辻だけを殺して、再び下から姿を見せたのも不可解だ。
第一発見者の林は、なかなかトイレから戻って来ない辻の様子を見に行った時、鈍い音を聞いて殺されているのを発見したらしい。
見解を聞いた社長と安斎は、ほぼ間違いなく内部に犯人がいると結論付けた。
著者名:粂田晃宏 引用元:モンキーピーク2巻
しかし犯人を特定する術がなく、一先ず早乙女、宮田、林、社長、安斎だけの心に留めておくことにした。
昨夜のパニックで足を骨折した黒木を安斎が背負い、再び前岳の山頂目指して登り始めた。
既に水はなく、喉がひっつくような感覚に襲われながら膝をひたすら上げて、ようやく山頂に辿り着いた。
眼前に広がる景色の中に、中岳小屋が見えた。
後は山頂から下りつつ、途中で登りに変わる尾根を進めばいい。
しかし、ここから先は何の障害もない見通しのいい一本道。
弓矢の格好の的になることは必至なので、遠野は一つの班が山頂に残って後ろを警戒している隙に二班が小屋へと渡り、随時山頂の班から二人ずつ先に進み、警戒する人員を残す方法を提案した。
もちろん最後の二人になることに手を上げる者などいなかった。
その時、飯塚が動いた。
密かに栄養ドリンクを隠して飲んでいたところを、女子社員の藤柴に見つかっていた彼は、いざというときのために彼女と同盟を組んでいたのだ。
さもその場で見つけたかのようにジュースの空きパックを掲げて騒ぎ出し、間髪いれずに藤柴が、早乙女が飲んでいるところを見たと嘘を吐いた。
著者名:粂田晃宏 引用元:モンキーピーク2巻
疲労と水不足と恐怖で殺気立っている彼らは、藤柴の言葉を疑おうともせず、早乙女に詰めよって罵倒し始め、まだ何か隠していないか身包み剥ごうとしてきた。
唯一林だけが止めようと間に入ろうとした時、早乙女が振り上げた肘が彼女の横顔を捉えてしまい、殴り倒してしまった。
著者名:粂田晃宏 引用元:モンキーピーク2巻
しかし彼女は殴られてもすぐ大声をあげて止めに入り、それで殺気だった連中は落ち着きを取り戻していった。
結局早乙女は自ら服を脱ぐハメになり、もちろん何も出てこなかった。
しかし疑いをかけられた彼の班がしんがりを務めなければならなくなった。
重苦しい空気が漂う中、いつの間にか他の班の宮田が山頂に残っていた。
帰還後の出世を狙うために残ったと嘯くが、彼は早乙女の無実を疑っていなかった。
そろそろ後を追う頃合になると、宮田は自分と早乙女が残るので、残りの全員で向かって下さいと提案した。
さすがにいきなり二人では不安だと、常に班長風を吹かせていた佐藤も残ると自分から言い出し、3人でしんがりを受け持った。
メンバーが出発して程なく、早乙女はトイレをしに少し離れた。
漂ってくる濃い匂いに佐藤は顔をしかめるが、宮田はその濃い匂いは脱水症状の証だと言って笑みを零した。
中学から付き合いのある宮田は、早乙女が誠実なやつだと知っていた。だから無実だと確かめられて思わず笑ってしまったのだった。
著者名:粂田晃宏 引用元:モンキーピーク2巻
トイレから戻ってきた早乙女は、当然の疑問を口にした。
用意周到な猿が、小屋にある備蓄の飲料や下界への連絡手段をそのままにしているはずがない。もしあったとしても、飲料に毒を仕込むくらいはしているだろうし、一気に殺すなら小屋で待ち伏せするのが手っ取り早い。
著者名:粂田晃宏 引用元:モンキーピーク2巻
先頭集団がその可能性に気付く前に猿が小屋の陰から現れ、弓を構えた。
小屋の方が高い位置にある高低差を活かした矢が放たれ、先頭を歩いていた社長の腹を貫いてしまった。
さらに猿は彼らの目の前で、備蓄の水が入っているペットボトルを逆さまにして水を捨てていった。
著者名:粂田晃宏 引用元:モンキーピーク2巻
怒りが恐怖を上回った数人の男が、我を忘れ猿目がけて駆け出す。
小屋の中に踏み込んだ彼らは、窓が空いているのを見つけて近づいた。その瞬間、窓の外から猿が姿を見せて、馬場に矢を射った。
彼の後ろから宮内がナイフを握りしめて立ち向かったが、あっさり額を撃ち抜かれた。
猿はまだ息のある馬場にさらに3発の矢を射って、惨たらしく止めを刺した。
著者名:粂田晃宏 引用元:モンキーピーク2巻
その直後、小屋の裏を回ってきた安斎が猿に挑もうとするが、猿は素早く逃げ出し、またどこかに姿を消してしまった。