3話
牛飼娘は村を出る直前に、幼馴染みの男の子と喧嘩をして、仲直りせずに出ていった時のことを夢に見た。
牧場をしている叔父を手伝って暮らしている彼女はいつも裸で寝ていて、その日もいつも通りだった。
窓の外ではゴブスレが朝早くから柵を修理してくれているのが見えて、朝ごはんにしようと彼に声をかけた。
著者名:黒瀬浩介 引用元:ゴブリンスレイヤー1巻
今日も冒険者稼業に出かける彼と一緒に、ギルドに卸す商品を荷車で引きながら一緒に街へ向かう。彼が毎朝、ゴブリンが来ていないか調べ、柵を直してくれているのは知っていた。
その日もギルドには、ゴブリンに襲われた村から依頼が舞いこんでいた。
頼みに来た村の男が持ってきた依頼料は、精々白磁級が数人雇えるかどうかだったが、受付嬢は赤字覚悟で、泥にまみれたその金と依頼を引き受けた。
ゴブリン退治は割りに合わないことからある程度の熟練者になると、依頼を引き受けようとしなくなる。だが、ゴブリン被害は後を絶たないので、必然的に経験の少ない冒険者たちが引き受けることになり、人間側の被害も少なくないのが現状だった。
その中で、銀級にも関わらずゴブリン退治を専門的に引き受けるゴブリンスレイヤーは異質な存在として有名で、受付嬢は彼に任せれば下手に新人の犠牲が出なくて済むのでとても感謝していたし、彼が依頼完了の報告に来るたびに、被害者たちからお礼を言われるので、彼に代わって誇らしい気持ちになっていた。
著者名:黒瀬浩介 引用元:ゴブリンスレイヤー1巻
しかし、同じ銀級冒険者の中には、ゴブリン退治だけで成り上がっただけだと疎ましく思う者がいるのも現実だった。
牛飼娘はその日、最近一緒にパーティーを組んでいると聞いていた神官を初めて見たが、まさか女だったとは思わず、しかも可愛くて彼もいつもよりよく喋っているようだった。
ギルドの中で彼とは別れ、二人は肩を並べてゴブリン退治に出かけていった。
牛飼娘は後悔とも言えない、不思議な気持ちでゴブスレの帰りを待っていた。
著者名:黒瀬浩介 引用元:ゴブリンスレイヤー1巻
10年前に彼女が村を出て叔父のところに行った直後、村はゴブリンに襲われて父と母の行方は分からなくなり、幼馴染みの男の子も消えてしまった。
もし、あの時仲直りをしていたら、一緒に村を出ていたら・・・
そんなタラレバを思いつつ、ゴブスレが以前のように戻って、ごめんなさいと謝って仲直りできる日がくることを彼女は願っていた。
4話
ゴブスレと女神官が引き受けたのは、エルフの山の砦に棲みついて近隣の村を襲い始めている奴らの退治だった。
既に新人女性パーティが一組送り込まれていたのだが、あれよあれよと言う間にゴブリンの連携プレーにやられてしまい、彼女たちは散々陵辱されてから殺されていた。
そこに再びやってきたのが鎧の男と若い女神官だったので、奴らはすぐに彼女の裸を想像して色めきたっていた。
著者名:黒瀬浩介 引用元:ゴブリンスレイヤー1巻
しかし、ゴブスレは反撃の隙を与えないように火矢と可燃性の液体を撒いて火攻めにして混乱に陥れた。
時間が経ちすぎていることから、もう生存者はいないだろうという判断からだった。
奴らも反撃してくるが、弓矢で遠くから射殺し、近づいて来るように誘導した。
炎の勢いがどんどん増し、奴らが追いかけて砦の入り口に近づいてきたところで、女神官は覚えたてのプロテクションを発動し、聖なる壁を出現させて閉じ込めた。
間に合わずに数匹が抜け出してきたが、それは彼があっさり斬り殺して駆除した。
炎と煙に巻かれて断末魔をあげるゴブリンたち。
彼はゴブリンたちの死に様と、聖壁の汎用性を満足そうに眺めていた。
著者名:黒瀬浩介 引用元:ゴブリンスレイヤー1巻
被害に遭っていた村からも煙が上がっているのが見え、人々は喜びを分かち合っていた。
とある町角で、ゴブリンスレイヤーの噂を歌っている吟遊詩人がいた。
大して儲けにもならないのに率先してゴブリンを狩る彼の歌は評判が良く、吟遊詩人は満足げにおひねりを勘定していた。
そこに、ゴブスレを探しているという美しいエルフが声をかけてきた。
著者名:黒瀬浩介 引用元:ゴブリンスレイヤー1巻
感想
ゴブリンスレイヤー1巻でした。
面白度☆9 エログロ度☆9
異世界ファンタジーは一気に増えてきた印象ですけど、どれもこれもハーレムかちょっとシリアスかギャグかって感じな気がして食指が動きませんでしたが、これはなかなかでした。
まずゴブリンがキモくて憎たらしいし、容赦なく人は殺されるし。
つまりゴブリンって命がけで挑むほどには危険だと思いましたが、なぜか低価値の依頼にされてしまう世知辛さ。
魔法使いちゃんは可哀想でしたが、大体が死ぬ前提と考えられる死亡率なので、すぐに感覚が改まりましたね。