ちおちゃんの通学路7巻
ネタバレ感想
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薄い顔ながら、濃い~通学の時間を過ごしているちおちゃんと真奈菜。
常に一緒にいる二人でも、どうにかして相手より一つ上を行こうとする低い競争意識を持ち、今日も今日とてゲスい顔でニヤける二人の女子高生・・・
ブラッドラスト
ちおちゃんは目を瞑って、今かまだかとびくびくしていた。
目の前には、真奈菜が手を振り上げて待っている。
そしてあえなく、脳天にチョップを食らってしまうのだった。
著者名:川崎直孝 引用元:ちおちゃんの通学路7巻
もちろん一方的な暴力ではなく、ちおちゃんがお願いしたことだった。
いつものようにゲームをしていて、相手プレイヤーの背後を取ったちおちゃんは、さっくりナイフで殺ってやろうとしたのだが、突然振り返られて返り討ちに遭ったらしい。
その相手曰く、なんか殺気を感じたとか言うので、ちおちゃんも真奈菜に頼んで相手の気配を察する特訓をしていたのだ。
真奈菜は内心でイライラしながら、仕方なくもう一度振り下ろすと、また当然頭にヒットしたのだが、今度は確実に殺気を感じたとか言い出すちおちゃん。
せや!相手が本気やったから感じたんや!とちおちゃんは導き出し、よっしゃ、今度は本気でビンタしてや!と頼んできた。
さすがの真奈菜も躊躇した。
いくらなんでも多くの時間を過ごしてきた親友の無防備な頬に平手を打つなど、正気の沙汰ではできないと思った。
思ったが、ここ最近の思い出を振り返って全然イケそうだと思い直したし、なんかギュッと目を閉じてる顔を見てたらムカついてきた。
著者名:川崎直孝 引用元:ちおちゃんの通学路7巻
もう思いっきり叩きたいくらいに感情が高ぶって振りかぶった。
しかし、ちおちゃんは宣言通りに止めたのである。
それでも、真奈菜は残った左手を振りかぶった。だがしかし、それも止められてしまう。
一振りのみならず二振り目も受け止められるとは・・・
ちおちゃんは心眼を開いて喜び弾み、真奈菜に抱きつくが、恨みを抱いた親友は最早逆恨みの域に達していて、どうにかしてモヤモヤを解消しなければと悪い企みを思考し始めた。
著者名:川崎直孝 引用元:ちおちゃんの通学路7巻
そこでちおちゃんの承認欲求を利用して、第三者に心眼を見てもらわない?とナイスアイデアのように提案し、手のひらで転がすように計画へと誘ったのである。
そこで呼び出されたデスサイズ細川。
なんの前置きもなくちおちゃんの頬を叩いて欲しいと言ってみると、まさに間を置かずに快諾してくれたので、それはそれでちょっと怖くなる。
一先ず理由を話すと、体育会系でならしている彼女は怪我でもさせかねないと感じて躊躇う。
しかし、キャラが振り切れている人間の人心掌握術を会得している真奈菜は、スポーツだと思ってさ・・・とテンプテーションワードを囁き、瞬時に彼女のスイッチを入れた。
著者名:川崎直孝 引用元:ちおちゃんの通学路7巻
人に手を汚させ、ちおちゃんから笑顔を奪う。
涎が止まらないシチュエーションに持ち込めて真奈菜は気味の悪い笑い声を心の中で漏らしていたが、はて、細川雪に本気でしばかれたら、果たしてどうなるのだろうかと考えた。
直後に強烈なスイングが起こり、一陣の風が吹き抜けた。
それは頬には当たらず空振ったが、ちおちゃんの背後の茂みが真っ直ぐ押し倒されるほどの風圧だったし、全く持って殺気を感じ取れなかった。
その時、ちおちゃんは気付いた。
さっきのは単なるマグレだったのではないかと!?
それでも、もう後に引ける雰囲気ではない。
しばかれるか受け止めるかのどちらかしかなく、ちおちゃんは顔面崩壊を回避するために全ての感覚を研ぎ澄まし、周囲の映像をビジョン化できるほどまでに底上げした。
すると現れた邪悪な気配。
だがそれは目の前の雪ではなく、涎を垂らして決定的瞬間を撮ってやろうとスマホを構えている真奈菜の像だった。
そこで真実に気がついた。
自分の感覚は、長年の諸々を積み重ね合ってきた親友だけを感じ取るのだと。
著者名:川崎直孝 引用元:ちおちゃんの通学路7巻
その真奈菜像がぐにゃりと歪んだ瞬間を見逃さず、強烈なビンタをキャッチして顔面崩壊から生き残る事ができた。
しかしビンタの勢いは完全に死なず、僅かにメガネの弦に当たって弾け飛び、真横で待機していた真奈菜の両目にレンズがめり込むのだった。
キレる真奈菜。
薄いちおちゃん。
著者名:川崎直孝 引用元:ちおちゃんの通学路7巻
その後も雪には怒らずちおちゃんだけにギャンギャン文句を垂れる真奈菜を、内心蔑むちおちゃんだったが、雪にまでその薄過ぎる顔を笑われたことなど知る由もなかった。