テセウスの船1巻ネタバレ感想
テセウスの船1巻のネタバレと感想とあらすじと画像、漫画を無料で読める方法を紹介。
もうすぐ出産を迎えようとしている妻がいる、田村心。
彼の父は彼が生まれる前に、大量殺人犯として逮捕されていた。
しかも父は、現職の警察官だった。
誕生と別れ
音臼小無差別殺人事件と題された未曾有の殺人事件は、1989年6月に起きた。
28年前の1989年6月24日。
小学校のお泊り会で出されたオレンジジュースの中に青酸カリが混入されており、それを飲んだ39名のうち、教職員5名、児童16名が犠牲になった。
その後、警察はある男の家から青酸カリを押収し、その男を逮捕した。
佐野文吾32歳。現職の警察官だった。
心が起きて顔を洗っていると、妻の由紀が辛そうにお腹をさすっていた。
産徴が続いているので、そろそろ産まれる頃だった。
心は由紀のリクエストに応えて、まだ見ぬ我が子のために自分で作った曲をハーモニカで吹いて聴かせた。
著者名:東元俊哉 引用元:テセウスの船1巻
由紀の両親は心の父親の件もあって、最後まで結婚に反対し続けていて、出産にも来る予定はなかった。
逆に心の母は、あの事件依頼大変な思いをして子供3人を育ててきた立派な母親だったが、子供たちにも笑顔で生きる資格はないのだと教えるほど、懺悔だけを胸に生きるようになってしまっていた。
心自身も教師の夢を諦めて一般の会社で働いていた。
しかし由紀は、父親が起こした事件の責任は心にはないと励ましてくれ、当時の事件のことまで調べてノートに書き留め、新聞記事までスクラップしていた。
その調べた中に、無差別殺人事件が起きる前に、村内でいくつか事件が起きていたことまで調べていた。
後日、心の仕事中に由紀が急に産気づき、病院に運ばれた由紀は女の子を出産した。
だが、彼女は子供の顔を見ることなく亡くなってしまったのだった。
著者名:東元俊哉 引用元:テセウスの船1巻
葬儀でも心の母は涙を見せないようにしなさいと彼に釘を刺した。
由紀の両親は、娘が死んだのは全て心のせいだと激昂し、産まれたばかりの孫を引き取るとまで言い出した。
心は娘を連れて家に帰り、由紀が遺した事件を調べたノートを読んだ。
どうやら彼女は父の冤罪の可能性を見出していたようで、心は親権を守るためにもその事件と向き合うことを決め、父に会いに札幌の留置所に行くことにした。
著者名:東元俊哉 引用元:テセウスの船1巻
担当弁護士と会う前に音臼村を訪れた。
今は誰も住んでいない廃村になっていて、小学校跡地には慰霊碑が建っていた。
その辺りを歩いていると濃い霧が立ち込め始め、自分の手がかろうじて見えるくらいに前が見えなくなった。
何かに躓いて転んだ直後、急に風の音がゴオっとなり、いつの間にか一面真っ白な雪に覆われていた。
その日は、まだ夏に入ったばかりの6月だった。
目線を上げれば、なぜか取り壊されたはずの音臼小学校がそこにあった。
どういうことか理解できないでいると、狐面を被った奇妙な子供が声をかけてきた。
著者名:東元俊哉 引用元:テセウスの船1巻
それにも驚いていると、今度は老婆が声をかけてきた。
慌てて逃げ出すが、スマホの電源も入らないしどこに車を停めたかも分からなくなった。
偶然見つけた電話ボックスで弁護士事務所に電話をかけたが、なぜか使用されていない番号になっていた。
とにかく村を出ようと思ったがどこをどう行っていいのか分からず、近くの民家のドアを叩いた。しかし、中に人の気配があるのに誰も出て来てくれない。
ふと表札に被った雪を払ってみると、佐野と書かれていた。
そしてその直後、雪に埋もれて意識を失っている少女を見つけたのだった。
著者名:東元俊哉 引用元:テセウスの船1巻
三島外科医院という病院を運よく見つけられ、そこに運び込んだ。
少女の治療が終わるのを待っている間、院内で見たカレンダーやテレビによると、今は1989年1月7日で平成になったばかりだった。
さらに由紀のノートのスクラップ記事によると、助けた少女の名は佐野鈴と言い、心の12歳上の姉で、家の屋根の除雪中に誤って転落した事故のようだった。
その時、姉の名を叫びながら男が駆け込んできた。
警察の制服を着たその男は、間違いなく佐野文吾だった。
著者名:東元俊哉 引用元:テセウスの船1巻