ロッタレイン3巻ネタバレ感想
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年の近い蛍子と親しくなったものの、一はどうしても初穂の唇に吸い寄せられてしまった。
父も二人が近づいていくのに気付き、また心労が重なっていく。
澄也も姉が変わったのを知り、異常な奥野は自尊心を取り戻す機会を窺っていた。
ロッタレイン3巻
初穂は体育の授業で走り高跳びをしていたが、真っ青な空がきれいに見えたのに、一度でバーを跳び越すことができなかった。
その日の放課後、奥野に襲われた時に密かに尾行していた3人にカラオケに誘われ、晩御飯の準備を理由に断ろうと思ったが、彼女たちが純粋に誘ってくれているように見えて、心変わりした。
彼女たちはアニソンをノリノリで歌い終わった後、一の話題を振ってきた。
年が離れてる兄妹なのを驚かれたが、初穂は兄じゃないと答えた。
カラオケが終わって彼女たちと別れ、一に遅くなりそうなのをメールしようと思ったが、それを消去した直後に雨の境目が近づいてくるのを見た。
まるで全てを飲み込む洪水のように近づいてきて、一瞬のうちにずぶ濡れになってしまった。
すっかり暗くなった8時頃に仕事終わりの一が家に着いても、まだ初穂は帰っていなかった。
父も澄也も友達の心当たりもなく、一は帰って早々、また車に乗って飛び出した。
蛍子が働いているコンビニにも寄ったが、彼女も今日は見ていないようだった。
行く宛てもなく学校の前に車を停めたとき、初穂から電話がかかってきて、出雲崎行きのバスが通った道のどこかにいると言うので、一はそれがどこか知らなかったがすぐにナビに入力してアクセルを踏んだ。
初穂は友達が歌っていたアニソンを口ずさみながら、あっという間にできた水溜りに足を踏み入れた時、クラクションが耳を突き抜けた。
運転席から飛び出してきた一は大きな声で叱った後に、優しく抱きしめた。
しかし初穂は海に行きたいと言いだした。
もちろん一は心配しているからすぐに帰ろうと宥めるが、分別のある大人のくせに、あの夜どうしてキスしようとしたのかと問い質された。
何も言えなくなった一は折れ、シートベルトをするよう言って海の方向に走り出した。
そして酔ってした過ちだと言い訳しながら、酔ってなくてもするべきじゃなかったと謝った。
初穂は初めて雨の境目を見た話をした。
海は真っ暗で、全く青く見えなくて恐ろしいほどだった。
それでも初穂は靴下を脱ぎ、海の中に入っていった。
一が車のヘッドライトをつけて彼女が浮かび上がると、キスしようとしたことをなんで謝るの?と目を潤ませながら声を荒げた。
彼は彼女の魅惑的な唇にまた視線を吸い寄せられ、靴も脱がずに波をかき分けていったが、顔に思いっきりかかって笑われてしまってから、挑戦的な瞳の彼女を今度は強く抱きしめた。
帰りの車中で初穂が高校を卒業するまでただの兄妹でいようと話し、お互いの気持ちを確かめ合った。
父は二人してずぶ濡れで帰ってきたことを怪しんでいたが、その夜に深く追求はしなかった。
早朝にコインランドリーで制服を乾かした初穂は、その日に男子に告白されたが、約束した人がいると答えて断った。
そして下校しようと校門を出るところで、奥野に一とデキてるのかと絡まれた。
彼はまだ初穂に未練があり、年も離れて家族として暮らしてる相手とそういう関係になるのをとにかく蔑んで自分を見させようとしたが、ただ余計に嫌われただけだった。
その後一人になって初穂の盗撮写真を見つめていると、尾行していた女子の一人の中島に声をかけられ、また初穂に絡んでいたことを注意された。
しかしその中で、あの工事現場のいざこざを動画で撮っていたらしいのを知った。
翌日一の職場に、助けに来てくれた一に初穂が抱きついた時の静止画が添付され、年の離れた妹といかがわしい関係を持っている社員がいると苦情のメールが送られてきた。
社長はそれを性質の悪い悪戯だと信じ、消去した。
初穂も、学校で何か騒がれるようなことはなかった。
梅雨が長引いていたが、長岡の花火大会が近づいていて、地元民は徐々に心が浮ついていた。
そんなある時、また職場に苦情のメールが届き、他の社員にも知られることになってしまい、学校にも匿名で二人の関係を密告する手紙が届いた。
配達から戻った一は待ち受けていた同僚たちに詰め寄られたが、真っ向から否定してその写真の場面の経緯を正直に話し、社長が庇ってくれたのもあって大事にならずに済んだ。
初穂は校長を含めた数人の教師に呼び出されていた。
空気の読めない自分の考えを押し付ける担任の言葉に悔しくて仕方なかったが、ただ兄が助けてくれた時の写真だと伝えて解放してもらえた。
しかし一は緊張で足が震え、初穂は悔しくて泣いてしまっていた。
そして翌日から学校では確実に噂が広がっていて、担任は服装検査で気持ち悪く髪や唇を触ってきた。
初穂は怒りがこみ上げ、あの時尾行していた3人に、奥野とグルで写真なんか送りつけて楽しいの?と怒声を浴びせて受けて立つ姿勢を見せた。
中島がすぐに自分が請われるまま奥野に動画を送ったせいだと打ち明けたが、最早好き勝手に噂が広まってしまってから何を言われても遅かったし、犯人の奥野が休んでいるのも計算されたようで何も信用できなかった。
一の方は、東京で起こしたバス事故までリークされていて、それは社長もさすがに不信感を抱かずにはいられなくなっていた。
仕事終わりと学校帰りに二人はお互いにされた事を知り、初穂は奥野の家に乗り込もうとしていた。
だがチャイムを押しても大声で呼びかけても出てこないので、門を乗り越えた直後、セキュリティのアラームが鳴り響いた。
交番に補導され、父が呼び出され、奥野の母にねちねち嫌味を言われ、奥野本人は体調を崩して寝込んでいると聞かされた。
その日の夜に初穂は一の部屋に行って悔しさをぶつけ、二人だけでどこかに行きたいと縋りついた。
それを澄也に聞かれてしまい、大声で父を呼ばれてしまうのだった。
翌朝、初穂は注意されていた目にかかっていた前髪をパッツンにして学校に行こうとしたが、父に呼び止められた。
仕事の都合でオーストラリアに引っ越すことに決めたと言った。
ただ連れて行くのは、初穂と澄也だけだと付け加えた。
もちろん一は受け入れられなかった。
一度自分と母を捨て、身勝手な都合で初穂と出会わせ、深い関係になりそうになればまたそれを自分の気持ちだけで奪おうとする。
そして高ぶる反発心と初穂への思いが彼女にも伝わり、「行こう!」と腕を取られ、その勢いのままテーブルをなぎ倒して行く手を遮り、着のみ着のまま二人で車に飛び乗った。
助手席に座って東京に行こうと提案する初穂を見ると、また唇に吸い寄せられてから、セーラー服から伸びた白い足と胸元に視線を移し、誰にも渡さないと言った。
日本海側の曇りがちな空に比べて、東京に近づくほど空はすっきりと晴れ渡っていった。
一は自分の生まれ育ったマンションを外から眺め、あの辺の12階だと初穂に教えた。
彼女は無邪気に道端で配られていた風船を二人分もらい、はしゃいでいたが、彼は父からの留守電も無視して、近くのカフェで休憩している時に、短くパッツンになった彼女の髪形を可愛いと褒めた。
彼女は照れて返事ができず、ふと力が緩んだ指先から風船が逃げ出した。
ひとまずウィークリーマンションを借りた。
長岡の一軒家に比べるまでもなく狭かったが、二人で生活する分には十分に思え、初穂は入るなりベッドにダイブしてはしゃぎ続けた。
自炊して節約するために買い物に外に出ると、きれいな夕焼けが見えた。
小さな部屋の中にキッチン、バスルーム、ベッドにテーブルにテレビが無駄なく配置されていて、初穂が浴びるシャワーの音がどこにいても聞こえてくる。
彼女がバスタオルを一枚巻いただけの格好で出てきて、一は何でもないような風に装いながら、風呂上りの香りに理性を保つのが精一杯だった。
彼女にベッドを譲り、彼はソファに身を横たえて電気を消したが、やはりどうにも狭くてなかなか寝付けなかった。
すると彼女はこっちに来てもいいよと言ってきた。
しかし彼は断り、おやすみと返した。
彼女はずっと天井を見ていると、しばらくしてから彼のうなされる声が聞こえてきた。
一緒に買い物に行けば親子に間違えられ、馴染みのない鎌倉花火大会の中継をテレビで見て長岡の花火が近い事を思い出す。
初穂の勉強を見てやった後に、ベッドに寝そべって腰を踏んでもらうと気持ちよかった。
どうしようもない年齢差はつかず離れず常に付きまとい、初穂も重荷になっていることが分からないでもなかった。
でも、腰に感じる重さだとごまかして、彼は重くないよと答えたし、そう思いたかった。
その日の夜。
またうなされて夢の中で涙さえ流している彼の唇と自分の唇をそっと合わせた。
翌朝。
もう焦がす事の無くなったレンジのトースターで焼いた食パンを食べた後、一は友人のツテで新しい仕事の話を聞きにいった。
彼は良さそうな仕事が見つかり、お祝いに花火を買って帰った。
しかし、狭い部屋のどこにも初穂がいないのはすぐに分かった。
セミの鳴き声に急かされるようにクローゼットを調べると、彼女の制服が無くなっていた。
その日のうちに児童相談所の人間が訪ねてきて部屋を探し始めた隙に、車に飛び乗って長岡を目指してアクセルを強く踏んだ。
だが向かっている途中で父から電話がかかってきて、初穂は自分の意思で帰ってきて、自分の意思でオーストラリアに行く事を決めたと告げられた。
父は一方的に謝ってきたが、今更何を言われても初穂がいなければ意味がなかった。
彼はハンドルに額を打ちつけまくってから泣明かし、一晩過ぎてからゆるゆると長岡に向かった。
全国的に有名な花火大会はもちろん観客で溢れていた。
一は初穂と呟きながらフラフラ歩いていると、本当に初穂の横顔を見つけた。
彼が初穂を見つけたのに澄也も気付き、彼も澄也に気付いた。
彼が初穂に辿り着く前に澄也は人ゴミを縫って途中で立ちはだかり、彼が驚いている隙に明確な意志を持って階段から突き落したのだった。
皮肉にも、血を流して倒れている彼のために手を差し伸べたのは、年の近い、はっきりとアプローチしてくれていた蛍子だった…
感想
ロッタレイン3巻にて完結です。
面白度☆8 理不尽度☆9
16歳17歳年下の中学生とは法律的にアウトですが、これは父親が身勝手すぎましたね。
初穂に妖しい魅力がなかったらそもそもガキにしか見えなかったかも知れませんが、男の本能は若さを求めるから仕方ない面もあると言っておきましょう。
とにかく、担任は人にものを教える器じゃない。
そして、初穂に一番惹かれていたのは澄也だったのかも知れません。