100話 宣戦布告

この演説が始まる前、タイバー公はマガトに不安を吐露していた。

狙われる可能性が高いのは、マーレ軍幹部も一堂に会している演説の最中なのは間違いなく、移動経路はギリギリまで決めていないと言われても、それで安心しきれるものではなかった。

著者名:諫山創 引用元:別冊少年マガジン2018年1号

 

タイバー公とてエルディア人への悪感情を和らげるために政治外交を行ってきたのだが、そうしている間にパラディ島の悪魔が海を渡り、寝首を掻こうとすぐ近くまで迫って来ていた。

 

マーレ軍内部に内通者がいると分かっても、その尻尾さえ掴めない。

だから、あえて軍幹部や自分という大きなエサを無防備にさらけ出し、強引にその正体を釣り出すつもりだった。

そのための、世界宣言の場だった。

 

マガトは正直に、あなたを守りきることは恐らくできないと答えた。

しかし世界の真実を知り、一つの巨人を継承している彼は、既に覚悟ができていた。

著者名:諫山創 引用元:別冊少年マガジン2018年1号

 

 

タイバー公が世界に向けて驚愕の事実を次々と暴露している最中、マガトは戦士たちが消えてしまったと報告を受け、いよいよかと緊張を強くし、舞台の監視を続けた。

 

 

穴に落とされたピークとポルコは、無事と言えないまでも命に別状はなかった。

 

地面に藁が敷き詰めてあったおかげで骨折程度で済み、しかしその意外な好待遇の意味が分からない。

著者名:諫山創 引用元:別冊少年マガジン2018年1号

 

地上までの高さは、おそらく15m級がすっぽり収まる高さがありそうに見えたし、数人でぎゅうぎゅう詰めになりそうな広さしかないこの場所で巨人になれば、自らの肉体で押し潰されて死にそうだ。

そしてやはりピークは、あの兵士をどこかで見たことがあるような気がして仕方なかった。

 

 

タイバー公の演説は3つの壁の名の由来に差しかかっていた。

 

始祖の巨人の力を手に入れたカール・フリッツは、ユミルの3人の娘の名前を借りてマリア、ローゼ、シーナと壁に名前をつけた。

それはその壁が、幾千万もの超大型巨人で作られている生きた壁だったからだ。

著者名:諫山創 引用元:別冊少年マガジン2018年1号

 

そしてパラディ島の脅威こそ、その数え切れないほどの超大型巨人による地ならしだった。

 

現在、始祖の巨人を宿しているのがエレン・イエーガーであり、不戦の契りの範疇に収まらない危険人物である可能性が高かった。

 

 

世界への反逆者だと紹介されたエレンは、失っていた足を再生し始め、ファルコを驚愕させていた。

自分が厚意で運んでいた手紙も仲間との連絡手段だったと知り、自分のしでかした事の大きさと、尊敬していた人物に最初から騙されていた事実に腰を抜かした。

著者名:諫山創 引用元:別冊少年マガジン2018年1号

 

 

タイバー公は、現在の科学文明に地ならしを退ける力はないと断言し、超大型巨人の群れが通った跡はただの地表と化すと言った。

その最悪の事態を回避する機会は、今しかなかった。

 

エレンは甘んじてタイバー公の言葉を認め、母親が無残に食い殺された日から、どうして自分たちがそんな目に遭わなければならなかったのか分からなくてずっと考えていたと言った。

著者名:諫山創 引用元:別冊少年マガジン2018年1号

 

答えを求められたライナーは訊かれるまま、世界平和を手に入れるという任務のために、自分たちが壁を壊したからだと答えた。

するとエレンは、「なら仕方ないよな」と、遠い所を見ているような目で言った。