
おくることば1巻ネタバレ感想
おくることば1巻のネタバレと感想と画像、漫画を無料で読める方法を紹介。
町田とし子作の漫画「おくることば」
ある交通量の多い横断歩道では、かつて事故があって子供が亡くなったという。
それから何年か、その亡くなった子供が生きていれば青春真っ只中の高校生になった頃、再び惨劇が繰り返される・・・
1話
これから梅雨に入ろうかという6月初旬。
自分たちが通う高校前の横断歩道に立っていた佐原と千秋。
その時千晶がここに幽霊が出るらしいと話した直後、佐原は車がバンバン走っている道路の真ん中に少女が立っているのが見えた。
と同時に、彼は吸い込まれるように道路に飛び出していた。
ジャージ姿のまま佐原は、もう授業が始まってしまっている教室に堂々と入り、黒板の前でおどけて見せ、机の前に屈んで女子のスカートの中を覗き見始めた。
しかし誰も何も言わない。
机に乗って千晶の顔を覗き込んだり、漫画を描いて気持ち悪がられている託を心配したり、自分のことが好きだったらしい蓮乗が物憂げに窓の外を見ているのに、ありがとうと声をかけた。
著者名:町田とし子 引用元:おくることば1巻
佐原の机には死を悼む花と色々なメッセージが置かれていた。
3日前の午前8時頃、トラックに轢かれた彼はこの世を去り、そしてすぐに幽霊になり、自分が死んだ事故で大騒ぎをする同級生や同じ学校の生徒たちを戸惑いながら眺めていた。
写真を撮ろうとするやつを本気で注意する正義漢がいたりとパニックになる中、目の前で幼なじみが死んだ千晶は憔悴していた。
そして彼女を慰める蓮乗は誰よりも泣いていた。
彼は届かない感謝や謝罪の言葉をかけて教室を出ると、放課後になるまで少女の幽霊と一緒に事故現場で千晶を待った。
やがて通りかかった彼女に向けて、何で突き飛ばして殺したんだ?また繰り返すのか?と訊いた。
著者名:町田とし子 引用元:おくることば1巻
死んだばかりの彼と、かつて同じ場所で死んだ少女に見られているなど知る由もない千晶は、事故現場に足を止めて、何を考えているか分からない笑みを零した。
著者名:町田とし子 引用元:おくることば1巻
彼は絶対、彼女の犯行をみんなに伝えると誓った。
2話
事故から数日、現場には花が供えられていて、事故直後の写真を撮っていたメイは花があるのを気持ち悪がり、偶然聞いていた蓮乗に怒りと悲しみをぶり返させた。
そんな彼女を慰めるのが千晶の役目だった。
涙が止まらなくなった蓮乗が保健室で寝ていると、ふとカーテンが翻った時に、佐原と見知らぬ少女が見えたような気がした。
著者名:町田とし子 引用元:おくることば1巻
しかしそこにいたのは、心配して様子を見に来た千晶だった。
事故で心穏やかにいられない一人に、飛鳥謙汰がいた。
彼の妹のみったんこと実和こそ、かつてあの横断歩道で事故に遭って死んだ被害者で、佐原や千晶たち幼なじみの一人だった。
著者名:町田とし子 引用元:おくることば1巻
実和は年下の女の子だったが、兄の謙汰がサッカーで妹の相手をしない代わりに、佐原と千晶がよく一緒に遊んでいた。
とても人見知りで他の人の空気を感じるとすぐいなくなってしまったが、結局いつも近くに隠れているだけなのですぐに見つかり、2人に見つけてもらえた時の笑顔が可愛くて、千晶はどうしても放っておけなかった。
ただ事故に遭ったことは佐原に伏せられ、引越したことにされた。
そんな悲しい思い出話をしている彼女のすぐ後ろに、恨みを抱いた二人が立っていた。
著者名:町田とし子 引用元:おくることば1巻
それは彼女がまた犯行を重ねるかも知れないと思って監視していたからで、案の定、彼女は蓮乗を慰めるフリをしながら背後に立ち、また背中を押そうとしていた。
その時、いつも声の大きいメイが携帯を落として車に踏み潰されたと大騒ぎし始め、見られる可能性を考慮したのか、千晶は犯行を思い止まった。