15話
ユウカを葬り去ると、シンジを含め操っていた死者は太陽光でぐずぐずに腐り始めた。
まだ早朝の時間、自分と関わった人間が次々と消えていくのを必要以上に不審がられない方法を考えていると、ミチルをからかっていじめていた羽生が蛇を捕まえようとしているところを見かけて声をかけた。
羽生の能力は毒のある生物を食うことで唾液を毒にするものだった。
羽生にいつも一緒にいるカオリのカラコンを勝手に借りて喧嘩しているメッセージのやり取りを見せられた後で、ナナは不意をつき、羽生の首に毒針を刺した。
そして解毒剤をエサにスマホのロックナンバーを訊き出した。
もちろん解毒剤はなく、羽生は訳が分からないまま絶命させられた。
著者名:古屋庵 引用元:無能なナナ3巻
羽生の死はキョウヤの疑いを逸らすための材料に使うつもりで、彼女のスマホでカオリに罠メッセージを送るつもりだった。
だが、カオリの能力が瞬間移動で、羽生のスマホを持ち歩くのは危険性が高い。
そこで、リスクは高いがあるトリックを使うことにした。
カオリの部屋に忍び込み、罠を仕掛けて念のために立て付けの悪い窓を閉めた。
その後、あえてキョウヤにユウカを死なせてしまったのだと打ち明け、ミチル、セイヤ、モグオも連れてユウカを落としたあの断崖絶壁の前に行き、ユウカの本当の能力とシンジとの関係を話し、それを知られた彼女が自殺してしまったのだと一芝居打った。
そして腐り異臭を放っているシンジをモグオの炎で火葬にさせた。
そのまま次は山の中の何体かの死体も火葬にさせた。
一見友や死者を弔うナナの行為にキョウヤは異論を唱えることなく、とにかくナナの挙動に注目し続けていた。
著者名:古屋庵 引用元:無能なナナ3巻
死体の始末を終え、寮に戻って元凶はユウカの精神を操った人類の敵だと話した。
もちろんキョウヤはそんなことを鵜呑みにせず、誰かが消えるたびにナナの所在は不明になると突きつけた。
その時、寮の中から女の子の悲鳴が聞こえてきた。
腰を抜かしている女の子が指差す部屋の中には、顔を掻き毟っている途中で息絶えたカオリがいた。
著者名:古屋庵 引用元:無能なナナ3巻
16話
キョウヤはナナを監視の中に置きながらミチルに医療道具を持ってこさせ、検死を始めた。
死後二時間以内で、目を抉り出さんばかりに掻き毟っている。
机の上にある片方開けられたコンタクトの容器に目を留め、躊躇いなく保存液を飲み込んだ。
著者名:古屋庵 引用元:無能なナナ3巻
キョウヤは苦しみに悶えながらも強力な毒を保存液に盛られ、そのコンタクトをつけたせいで殺されたのだと推理した。
毒の影響で体が熱くてたまらないので、ナナに窓を開けるよう頼み、彼女は素直に応じて開けた。
が、立て付けの悪いことを知っていたので、取っ手がついていないにも関わらず、傍目に開けにくい方を躊躇いなく選んで開けてしまう。
午前中のナナのアリバイがないことで、キョウヤは問答無用でナナを疑い始めた。
羽生が毒のある生物を食べて毒の唾液を出すことで、キョウヤは表面上羽生にも疑いの目を向けるが、心の中では羽生とカオリとの接点が何か考えていた。
カオリの心を読み、コンタクトを日常的に付けている事を知ってそれを利用した。
とにかくナナの犯行を裏付けようとするキョウヤに苛立ちを感じていたミチルは、カオリのスマホを見せて羽生が犯人だと言った。
著者名:古屋庵 引用元:無能なナナ3巻
二人の最後のメッセージのやり取りは、羽生が勝手にコンタクトを持ち出したことにカオリがキレ、羽生が謝って机の上に戻しておいたと謝っているものだった。
送信時間は昼間の3時頃。
その時、ナナはみんなと山にいたのだから送れるわけがないとミチルは言った。
しかし、キョウヤはそのメッセージで、逆にナナが犯人だと確信した。
著者名:古屋庵 引用元:無能なナナ3巻
17話
騒ぎに他のクラスメイトも集まり、キョウヤは確信を持ったままナナが羽生とカオリを殺した方法を説明し始める。
ナナは落ち着いて訊きながら時折反論を挟み、相手が食らいついてくると嘘八百を並べ立てて掻い潜ろうとする。
キョウヤはナナがし掛けたトリックに気づかぬまま、ある理由で身体検査をすれば全てはっきりすると言い、彼女もそれを受け入れた。
そして、ポケットや臀部、胸部がまさぐられていくが、果たしてナナが仕掛けたトリックとはどんなもので、どうしてキョウヤはメッセージを見て犯人だと確信できたのか?