金のひつじ1巻
ネタバレ感想
金のひつじの漫画最新話、最新刊ネタバレと感想とあらすじと画像、漫画を無料で読める方法を紹介。
神様がうそをつく。の尾崎かおり最新作。
かつては仲が良かった4人の少年少女たち。
その中の一人が引越し、再会するまでの間に大きな歪みが生じ、当時の友情は見る影もなかった・・・
金のひつじ1巻
伏し目がちな男子高校生が、店員に変に思われないよう練炭と一緒に肉を買い、放置された廃車の中から隙間をテープで埋め、自ら死を選ぼうとしていた。
残したのは、スマホに書いた祖母への申し訳ない気持ちだけ。
しかし、死を迎える前に同じ年頃の少女がギターでフロントガラスを叩き割った。
その少女は、彼と同じく目に涙を溜めていた。
三井倉継(つぐ)。
大阪から女だらけの家族5人で、かつて住んでいた町に引っ越して来た。
父親が継に残したのは、ギターと自分が好きな曲だけ。
山にまだ雪が残っている寒い地域で、引越しの後片付けをしてから叔母がやっている小料理屋でご飯を食べ、仲良しだった3人に出した手紙に書いた、待ち合わせの場所へ。
6年ぶりだったが、3人とも懐かしい羊の公園に会いに来てくれた。
3人とも同じ高校に通っていて、勉強がよくできて皆を引っ張っていた優心は、進学校こそいかなかったが、少しチャラくカッコいい男子になっていた。
朝里とはプリクラ付の手紙のやり取りをまめにしていたおかげで、ようやく本物に会えたという感じだった。
空は今でも漫画家を目指しているようで、絵をよく描いていわゆるオタクと呼ばれるようになっていた。
久しぶりに会っても、あの時と変わらず接することができて嬉しかった継。
しかし、空が優心ら不良グループに酷いいじめを受けているとは、再会したばかりのこの時は思いもよらなかった。
転校初日は朝里が迎えに来て一緒に登校。
染み付いた大阪弁で朝里の周りの友達ともすぐに打ち解け、男子は大きな胸に注目を向ける。
ギターを弾いている動画を観せてあげると、それでも盛り上がってくれ、関西人とギタリストキャラで初日の掴みはバッチリかに思えた。
しかし、不良でもイケメンで有名な優心と普通に喋り、休んでいる空のお見舞いに行くため、転校初日から一緒に帰ったのが女子たちの癇に障り、ずっと彼を好きだった朝里も心中穏やかではなかった。
空は冬の川に落とされて寝込んでいた。
何も知らない継は昔と同じように男子二人が親友のままだと信じて疑わず、後から追いかけてきた朝里には、偶然、彼女だけが参加していなかった願い事を書いて入れたタイムカプセルの話題を出し、内容は秘密だと答え、完全に不機嫌にさせてしまう。
先に帰った朝里を追いかけるも、追いつけなかった継。
家に帰った朝里は、さっそく継への不満をSNSで友達に愚痴り、意図せずハブる空気を作ってしまう。
そして、残された優心と空は、更に険悪な関係に陥ってしまっていた。
朝里の怒りは治まらず、次の日の朝はもう継を迎えに行かず、机をくっつけてお昼ご飯を食べ始めようとした時、継の椅子にそっと生理用ナプキンを置いてスカートにくっつけ、クラス中の笑い者にして辱めた。
さらにトイレから戻ってくる前に姿を消し、ハブる作戦を完了させるのだった。
放課後、継は羊の公園でギターをかき鳴らし、嫌なことを忘れようとしていた。
そこに、また優心たちにボコボコにされて金まで巻き上げられた空が犬の散歩で通りかかった。
中身は変わらず、立場だけ変わった二人。
継はギターを聴いてもらって、空は彼女のギター演奏で元気が出たが、そこで彼の背中に靴の裏で蹴られた痕があるのに気づき、言葉を失う。
昔の友情はボロボロになっているのが分かった継は、叔母と母が働く店で夕飯を食べ、子供たちが寝静まった家に帰り、父から返信が来ていないスマホの画面を見つめた。
朝里は自分でハブっておいて申し訳なく思い、上から目線で仲直りしようと思った。
しかし、屋上で優心と継が仲良く話しているのを見てしまい、また嫉妬心に支配され、下駄箱から靴を盗んで川に捨てた。
放課後、不良グループといつものようにつるんでいた優心は一番顔を見たくない相手とばったり会って苛立ちを募らせ、昔一緒に拾って、今は空の家で飼われている犬のクロを勝手に連れ出した。
それを知った空が探し、橋の上で会ってまた理不尽な暴力を振るい、犬を人質に川に飛び込めと脅す。
そこに通りかかったのが、姉の子供を迎えに行った帰りの継だった。
空は恥ずかしさからかクロを置いて逃げ出した。
ただならぬ雰囲気を察した継は優心たちを追いかけ、クロをいじめようとしていたところに飛び込み、ようやく優心が空をいじめていたことを理解した。
仲間に焚き付けられ、継にも石を投げようとした姿を見て、完全に変わってしまったことも嫌でも分かってしまう。
友情の証だった思い出の品を川に捨て、いいことのない思い出の地に打ちひしがれたその時、空が廃車の中に入って死のうとしているのを見つけ、大切なギターが壊れるのも構わずにガラスを叩き割った。
変わらなかった同士、かつての友達にいじめられた同士の二人。
空は自分のために泣いてくれた友達を見て、自分も涙を流した。
優心が変わったのは中学生の頃、市議会議員をしていた自慢の父親が児童買春容疑で逮捕されたのがきっかけだった。
クラスメイトたちは手の平を返して優心をいじめ始め、彼は次第に学校に来なくなり、空も救いの手を差し伸べられなかった。
それから何ヶ月ぶりに喋ったある雪が降る夜、突然ボクシングジムに一緒に通わないかと誘われたが、それも断り、それ以降、中学生活がどうなって、進学したのかどうかさえも分からなかった。
そして同じ高校に入学したのを機に再会し、優心はかつて自分がそうされたように、関係ない空を執拗にいじめ始めたのだった。
そんなままならないいきさつを聞かされた継は、東京への家出に彼を誘った。
一度は死ぬことを選んだ空は、せめて生きることで祖母の心配を少しでも減らそうと思い、朝早くに待ち合わせ場所の羊の公園に向かった。
ただ、ギターと下着数枚しか持ってきていないらしい継に、さっそく不安を感じる。
特に当てもなくやって来た東京。
節約のためにネットカフェの狭い個室に二人で膝を折って背中をくっつけ合っていても、空は成長した幼馴染の柔らかい感触にドキドキし、片や継は異性なのを全く意識せずにバイト先を検索していた。
そして条件だけを見て面接を受けに行き、多少エッチな内容なのも覚悟したが、女の子たちがほぼ裸で男に跨っている仕事場を見せられ、一目散に逃げ出し、泣き顔で空に迎えられるのだった。
その矢先、家出の報告をした父親からついに返信があった。
再会した父親は相変わらずの放蕩具合だったが、知り合いのところにしばらく住まわせてくれるよう話をつけてくれ、壊れたギターも預かってくれた。
さっぱりとした父娘の再会と別れ。
目的の住所に向かう電車の車内、さすがに疲れているのか、寝入った継は知らず知らずのうちに彼の肩にもたれかかり、また意図せずドキドキさせていた。
そして父親の知り合いだというコロッケ屋に着くと、とんでもない場面に出くわしてしまうのだった。
感想
金のひつじ1巻でした。
面白度☆8 胸糞度☆8
「神様がうそをつく」は印象深くて記憶に残る1冊だったので、次回作をずっと心待ちにしていました。
今回は小学生から高校生になり、いろいろと変わらざるを得なかった4人の群像劇でした。
鬱憤を晴らすためだけに酷いいじめをし続ける優心には、暴行、恐喝、強盗、その他諸々で仲間と共に院に入って欲しいですし、女子らしい粘着質な朝里たちのいじめも、胸糞悪くて仕方ないです。
取り合えず今は、小料理屋の叔母がもっと見たいです。