出張集配を頼まれて行った先は、アジの干物を焼いたおいしそうな匂いが漂っている土産物屋さんで、なんと依頼の電話をしたのは、祖母の声真似をした那色だった。

著者名:はっとりみつる 引用元:綺麗にしてもらえますか。1巻

 

そして依頼の品物はたくさんあり、その中でも年季の入った大きな大漁旗は迫力も洗い甲斐もありそうな強敵だった。

 

この大漁旗だけはいつもの「金目にお任せ下さいとは言い切れず、一先ずお預りして店で検討することに。

 

 

慕ってくれるのは嬉しいがあれもこれもと品物が増え、両手が塞がっていざ帰ろうという時に、祖母さんに焼きたてのアジの干物をご馳走してもらえたので、お返しとばかりにイカの塩辛を購入して荷物を増やしてしまう。

著者名:はっとりみつる 引用元:綺麗にしてもらえますか。1巻

 

 

その夜、また仲良しな祖母と孫に銭湯で出会い、大漁旗への思いを知ることになった。

 

 

 

ある日の午後、いつまでも開店しないキンメクリーニングを心配して店の前で数人の常連さんが様子を伺っていた。

 

そこに通りかかった毬祥が木を登って二階から入ってみると、スカートをはだけさせた露わな格好で金目さんがぐったり寝ていたので声をかけると、のっそりと起き上がってくれた。

著者名:はっとりみつる 引用元:綺麗にしてもらえますか。1巻

 

 

彼女が話すところによると、大漁旗を無事に洗い終えた達成感で常連さんに誘われるままお洒落して夕食に出かけ、そこで飲んだたった一杯のお酒以降、記憶がないらしかった。

 

 

すっかり寝坊してしまっているのを理解した彼女は慌てて身支度を整え、また無防備な前かがみで彼にお礼を伝える。

 

でも、あられもない格好で寝ていたことは秘密にして下さいと抜け目無く迫り、古き良き指切りげんまんで強引に約束を取り付けるのだった。

著者名:はっとりみつる 引用元:綺麗にしてもらえますか。1巻

 

 

その後で、金目さんを食事に誘った常連さんも店に訪れたのだが、果たしてミステリアスで明るくて可愛い彼女と夜を過ごしたのは一体誰なのか・・・

 

 

 

やがて梅雨に入り、紫陽花が街のそこここに咲き出した頃、金目さんは閑散期に入るのに備えてチラシを作り、雨上がりの街を巡ってポスティング開始。

 

営業がてら、あのお土産屋さんにも足を向けると、綺麗になった大漁旗が店の壁に飾られているのを見れて感動も一塩。

 

お決まりの台詞と笑顔でその場を後にした。

著者名:はっとりみつる 引用元:綺麗にしてもらえますか。1巻

 

 

突然の通り雨に降られて、足湯スペースで雨宿り。

 

 

一枚残らずポスティングし終え、近づくお祭りのお囃子の練習をしている音色をBGMに、家の屋根の上という最高の花火スポットで夜空を眺める。

 

その時、花火が屋根を明るく染めた瞬間、覚えていない過去の自分が隣に蹲っているように見えたのだった。

著者名:はっとりみつる 引用元:綺麗にしてもらえますか。1巻

 

 

感想

綺麗にしてもらえますか。1巻でした。
面白度☆8 可愛い度☆9

主人公の金目さんを中心にした、熱海での悲喜こもごも日常劇です。

主人公が可愛いのはいわずもがな、ミステリアスな設定でもあるので、知りたいけど知るのが少し怖い絶妙な塩梅がいい感じでした。

まず、何歳なのかが気になります。