
蛍火の灯る頃に4巻
ネタバレ感想
蛍火の灯る頃にの漫画最新話、最新刊ネタバレと感想、あらすじ、画像、結末、漫画を無料で読める方法を紹介。
生き長らえていた生存者だと思われたチハルは、この地獄に囚われた獄卒だった。
化け物になってしまった彼女から逃げ、お守りに守られた公民館に避難した幸人たち。
そこで、この村の歴史が記された絵本を見つける。
そして未来へ
与平という男が主人公で語られる昔話の絵本。
内容は、今幸人たちが置かれている状況とほぼ同じだった。
空に現れた巨大な目。
鬼に変わる村人。
衣服を剥ぐ隣人の老婆。
死んだ両親を弔いもしない不信人な与平には、この村の現状と同じ災難が降りかかっていく。
鷹野によれば、この村では定期的に神隠しが起こっていた。
その事件を追っていけば、この村が異界の入り口になっていると考えるのが妥当に思え、資料や口伝の中に実体験の匂いを嗅ぎ取ることができた。
そしてこの平坂村の歴史を如実に記しているのが、この絵本だったのだ。
つまり、地獄になった村の資料が残っているなら、過去に地獄からの生還者がいたことに他ならない。
読み進めていくと、チハルや父親たちと同じ状況も記されていた。
最後に地獄の釜という場所に与平が行くと、そこには死して尚苦しんでいる両親の姿があった。
与平が両親への感謝と弔いの気持ちで拝むと、体から光が湧き両親に流れていく。
すると、二人の顔がフッと安らかになったようだった。
しかし、地獄から抜け出したシーンのページだけ破り取られていて決め手の方法が分からなかった。
とにかく父親たちの遺体は、今も地獄の釜と呼ばれている北の山にあるはずだった。
そこに行ったことのある鷹野の案内があれば辿りつけるが、鬼が蠢いている地獄の中の地獄に入るなら、相応の覚悟が必要だった。
公民館で篭城し続けても、いずれお守りは風化し、その時は鬼に殺され永遠の責め苦を味わう。
父たちを成仏させられれば地獄から抜け出せるが、失敗して今日明日からでも永遠の苦しみが始まるかも知れない。
それでも幸人は、行くつもりで他の資料に目を通し始めた。
その中に、30年前にこの村に引っ越してきて失踪した家族の写真があった。
その中の一人は、今のチハルの姿と変わらない中村千春という少女がいた。
つまり、中村家は家族で殺し合っていたのだった。
幸人と月は父を弔いに行く決心を固め、輝也と輝美も覚悟を決めた。
地獄の釜は活火山のようにぽっかり空いた穴の中だった。
中は大空間が広がっている洞窟のようで、どこに父たちがいるのか見当もつかなかったが、月は暗闇の先に赤い光を見つけ、それを目印に進んでいく。
その光が近づいて来たと思ったその時、地中から巨大な泥人形のような鬼がいくつも現れた。
しかし、銃を持った鷹野が引き付けてくれたおかげで幸人たちはやり過ごすことができた。
ただ、目印がなくなってどこに進めばいいか分からない。
その時、月がその場で弔いの気持ちと共に父に語りかけると、あの時と同じ蛍のような光の粒が現れた。
月はそれに導かれて歩き出し、他の3人も後に続いた。
ゴールの見えない先行きに息が切れ始めた頃に頂上に着いたが、下りの先はさらに恐ろしい光景が広がっていた。
惨たらしい方法で鬼に殺される無数の亡者たち。
焼かれ、引き裂かれ、潰され・・・まさに地獄だった。
それでも蛍の光を追っていくと、今度は岩で埋められただけで放置されている亡者たちのエリアに着いた。
その岩壁の中に、父親たちが埋もれているのを見つけたのだった。
顔や身体の一部が出ているものの、人の力で引き出せそうにない。
月が今までの感謝を込めて言葉をかけると、また光が月から出てそれが父親たちに飛び、苦しんでいた表情が少し和らいでいく。
だが、少しでも祈りを止めるとまた苦しみの表情へ変わってしまう。
抜け落ちたページで与平が何をしたのかが鍵になるが、その答えが出る前に鷹野が合流した。
しかし、鬼を振り切れずここに来るまでにあまり時間がないという。
その時輝也が、仕事も探してちゃんと生活していくと声をかけると、今までで一番多く光が飛び出した。
感謝よりも、子供の未来を案じている親の気持ちを考え、安心させてあげることが苦しみから解放させてあげられる方法だった。
幸人と月も続けて父親に声をかけ、大量の光を飛ばした。
しかし、それでも完全に解放させるには至らない。
最後に輝美が語りかけた時、彼女の身体が光に霞んで見えなくなるほどの蛍が飛び出し、辺り一帯を包み込んだのだった。
光の中で父親たちの声を聞いた後、気がつくと、地獄の釜の外にいた。
祖母の家に戻り、元の世界に戻る出口が開く明日の夕刻までの間、他愛ないゲームをしながらその時を待つことにした。
ようやく明るい雰囲気を取り戻せた流れで、輝美は今妊娠していて、父のように温かい家庭を作ると語りかけ、成仏させてあげたと打ち明けた。
まだ若く、やりたいことをしている最中の彼女だったが、いつか父が言っていた言葉を思い出し、産むことに決めたのだった。
そしてそれぞれの夜を明かした。
翌朝、輝美はここで起きたことを忘れないよう、ノートに記録し始めていた。
そのタイトルは、父親たちを成仏させた光に因み、「蛍火の灯る頃に」とつけたが、それは鷹野がつけていた記録ノートのタイトルと同じだった。
出口が開く夕刻。
村の外に続く街道の先に進めば、この地獄から抜け出せる。
その時、月は具合が悪そうな鷹野の腕を掴み引き止めた。
日記に残されていた「ミヨコ」という名の若い女性が、殺し合う家族の中に見当たらなかったこと。
亡者は死んだ時の生前の姿を保っていること。
その他いくつかの違和感から、月は鷹野が自分が死んでいることに気づいていない亡者だと見抜いていたのだった。
驚愕の事実を突きつけられた鷹野はそんな残酷な真実を受け入れられず、腕を離そうとしない月に向かって銃を撃ってしまうのだった。
そしてチハルのように化物に変化していく鷹野。
ここまで来て、やはり地獄からは抜け出せないのだろうか・・・
感想
蛍火の灯る頃に4巻にて完結です。
面白度☆8 泣ける度☆9
サクサク進んでダラーっとせずいい感じで終わりましたね。
特に最終巻の4巻もそうですが、輝美と父親の関係には泣かせられました。
伝奇ホラーだけじゃなく、ヒューマンドラマ要素も強く、お勧めしたい作品でした。