17話
思わせぶりな小悪魔少女にさせられたちか。
舌を入れてこようとする彼女の中に美輪子を感じた壮一は思わず突き飛ばすと、あっさりと気を失った。
部屋に運び込み、ベッドに寝かせる。
美輪子の影に怯えながらも、視線はドレスがはだけて見える太ももや柔らかい唇、上下する胸の谷間に吸い寄せられてしまう。
著者名:佐藤洋寿 引用元:屍牙姫3巻
股間が疼き、袖口から手を差し入れて初めて女の子の胸を触っていやらしい笑みを零した。
しかし、彼女が起きそうな反応を見せると慌てて距離を取った。
それもまた美輪子に笑われているようで、みじめになって理性を取り戻した。
翌朝目覚めたちかは元に戻ったが、見知らぬごみ屋敷にいて恐怖を感じ、泣き出してしまう。
壮一の顔を見ると落ち着きを取り戻したが、昨日のことをほとんど覚えていなかった。
ちかは壁の落書きを消すのを手伝うと申し出るが、この家がごみ屋敷で近所から疎まれ、母親は狂い、酷いいじめを受けて来たことを打ち明けられた最後、壮一の姿が得体の知れない化物に見えた気がしてそれ以上何も言えなくなった。
著者名:佐藤洋寿 引用元:屍牙姫3巻
その場は壮一の言葉に従い、大人しく帰った。
ただ夕方頃にまた訪ね、嫌っている人ばかりじゃないという意味で励ましの言葉をかけた。
著者名:佐藤洋寿 引用元:屍牙姫3巻
まさか、それを広田に聞かれていたなど知る由もなかった。
18話
ちかは恋愛的な意味じゃないと続けるが、うまく言葉にできず、好きと言われた壮一も何も返せなかった。
曲がり角の陰で会話を聞いていた広田は憎悪がこみ上げるが、為すすべなく殺されかけたのを思い出し、真っ二つにされた箇所を押さえて足が竦んでしまっていた。
著者名:佐藤洋寿 引用元:屍牙姫3巻
彼は洋館に戻り、どうすれば猟爪をコントロールできるようになるのか美輪子に訊ねた。
まさに思惑通りに彼が強い使い魔になるべく動き出したのに失笑した美輪子は、身も心も化物になる必要があると教えた。
今以上どうすればいいか分からない彼は戸惑う。
すると美輪子は、壮一のものに引けを取らない不気味なマスクをプレゼントした。
著者名:佐藤洋寿 引用元:屍牙姫3巻
この化物らしいマスクにより、人間であろうとする理性が消えて心も化物になれる。
人間に戻れなくなるかもしれないと重要なことを伝えた直後に美輪子は彼の腹を貫いた。
そして、おぞましい新マスクを被せて生まれ変わりを促した。
やがて回復した彼は夜の街に出た。
そして心臓を狩っている他の使い魔に遭遇すると、試しに猟爪を出してみた。
すると簡単過ぎるほどに出すことができた。
カエル型の使い魔は彼をなりたてだと侮ったせいで美輪子の使い魔の釦の目に気づくのが遅れ、一撃で葬り去られるのだった。
著者名:佐藤洋寿 引用元:屍牙姫3巻
その頃壮一は、ちかで頭がいっぱいになっていた。
そのせいか、なぜかうまく猟爪が出せなくなっていた。
19話
彼は夜な夜な町に繰り出し、使い魔だけを狙って猟爪を出す訓練をすると共に壮一を倒すイメージを高めていった。
ちかへの不信感は募り、学校でもよそよそしい態度を取って、人間を止めかけている恐ろしい顔を見せて怖がらせ、悲しませた。
そしてちかはまた壮一を頼り、壮一はちかに執着していく。
著者名:佐藤洋寿 引用元:屍牙姫3巻
その矢先、ついに彼と壮一の再戦が行われようとしていた。
感想
屍牙姫3巻でした。
面白度☆7 愛憎度☆8
人外の世界に広田を引き込んだ壮一が、奇しくも人側に戻ろうとしてきました。
まだ被害者とは知らずに壮一の中で存在が大きくなり続けるちかがキーパーソンなのは間違いないですが、広田の方が強くなったであろう今、新たな始祖の登場で4巻からの新展開が始まります。
設定の全てを消化するには、まだまだ時間がかかりそうですね。