モンキーピーク6巻
ネタバレ感想
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一命を取り留め、再合流した早乙女たち。
一方別行動で猿から逃げていた佐藤は南を転落死させてしまったが、飯塚の悪魔の囁きに抗えず、自分が殺したことを打ち明けられずにいた。
長谷川が犯人かもしれないと疑いが持ち上がる中、いよいよ最終決戦の様相を呈していく。
51話
今夜小屋を襲うが、二人だけは逃がしてやる。
罠としか思えないが本当かも知れない猿たちの提案で彼らの中にまた動揺が走る。
博識の遠野は逃げ道を作って追い込む三面包囲だろうと推測する。
確かに最初は40人いたのに、今は八木を入れて10人しかいないのが現実だった。
宮田は全員での強行突破を強く推すが、安斎は戦力にならない二人を選べばいいと言い出した。
それは、足が重傷の早乙女と体も心もボロボロの佐藤だった。
著者名:志名坂高次 引用元:モンキーピーク6巻
早乙女は言われるまでもなく危険な役目を買って出ようとするが、佐藤が返事をできないでいる間に田中が勝手に猿たちの方に駆け出した。
すると、猿たちと僅かに話したように見えた後で、本当に見逃してもらえ下山していったのだった。
救助要請は田中に任せることにし、明日の昼前まで救助のヘリを待ち、来なかったら強行突破で意思を統一した。
小屋の二階を調べ始めた早乙女たちに同行した八木は、明らかに怪しいあの手紙を読んだ後のやり取りで裏切り者の筆頭候補に気づいたという。
それは、誰かに下山を促しながら自分がその立場にならないよう誘導した安斎だという。
著者名:志名坂高次 引用元:モンキーピーク6巻
52話
振り返ってみると、アメフトのクウォーターバックをしていたにも関わらず安斎は猿に二度石を投げて両方とも外し、中岳小屋では猿と勇敢に対峙はしたが、結局逃していた。
そもそも会社のレクリエーションで山登りをする発想が体育会系のものとしか思えず、安斎が提案した可能性が高い。
暴力でリーダーの立場に収まってから、事態はどんどん悪くなっているのも見過ごせない点だった。
早乙女たちの会話を盗み聞きした藤柴はすぐに飯塚たちに報告した。
期せずして佐藤の秘密で繋がった彼ら4人は、飯塚が主導権を握って見つけた酢を遠野のリュックに隠させ、小さな恐怖政治を強いていた。
著者名:志名坂高次 引用元:モンキーピーク6巻
ろくなものが見つからなかった後、この辺りをよく知る八木の提案で地面を掘り、土に染み込んだ水分を採取することになった。
黒ずんだ土をシーツに集め、力の限り絞ると僅かにだが確かに水を集めることができた。
著者名:志名坂高次 引用元:モンキーピーク6巻
小さな希望を手に入れた後、二つのチームは安斎にある話を持ちかけた。
53話
全員の総意として、数々の凶行で信用がなくなったので小屋に入るのは遠慮して欲しいと頼んだ。
もし受け入れないなら、力ずくで解決する意思を示して見せた。
著者名:志名坂高次 引用元:モンキーピーク6巻
安斎は過去にもした同じ経験を思い出したが、異議を唱えず受け入れた。
引き続き土を集めてシーツを絞り、2リットル程度の水を集めることができた。
それを平等に安斎にも分け、彼は死体が残るテントで夜を明かすことになった。
小屋の中では水を煮沸消毒しながら採取したゴミ虫らしき虫も一緒に塩茹でにして、早乙女たちは生きるために我慢して飲み込んだ。
それに呆れたフリをして飯塚と藤柴を場を離れ、最後の桃缶を二人で食べ尽くしていた。
著者名:志名坂高次 引用元:モンキーピーク6巻
54話
死体を外に出した安斎は、誰を見捨てるべきか思案していた。
自分が助かるために戦力になるものを優先すべきで、非情な判断こそできるだけ多くの人間を救えるのだと考えた。
しかし、彼の中の本性は自分一人で動いた方が生存する確率が一番高いとも思っていた。
早乙女たちは八木の発案で二階にトラップを仕掛けた。
一階から上がってくる手前の部屋に布団を吊るして奥が見えないようにし、下に鈴を取り付けて触れると音が鳴り、その瞬間に杭で突く。
著者名:志名坂高次 引用元:モンキーピーク6巻
窓の前には幾重にもロープを張り巡らせ、絡まったところを杭で突く。
猿が火を点けるはずがないと見越した、攻撃的な作戦だった。
佐藤は見張りを藤柴と交代して外に出た。
すると、ずっと彼女を気にかけていた遠野も出てきたが、今更の優しさは自棄になっている彼女に響かなかった。
そしてまた一人になった佐藤は、幼い子供のように泣いて母に助けを求めた。
著者名:志名坂高次 引用元:モンキーピーク6巻
戦おうとする者、他人を利用して生き残ろうとする者、それぞれの思惑を抱えながら夜は更けていく。