58話

遠野は爆弾の中の音に耳を澄ませ、どうやら仕掛けがうまく作動していないらしいことに気づいたが、結局爆発するのかどうかは未知数としか言えなかった。

 

 

安斎はシャベルを投げて突破口を開こうとするが、猿は盾まで用意していて難なく防いだ。

 

フェンシングのような突き刺し合いで何とか対抗できるのは八木だけで、煙の吸引によりまず最初に林が限界を超えそうになってしまう。

 

 

出来損ないの爆弾を作る知識はあっても、遠野は自分は事態を好転させる行動を起こせない人間だと改めて思った。

著者名:志名坂高次 引用元:モンキーピーク6巻

 

 

小学校の同窓会で、酔っ払った同窓生が外国人たちと揉め出し、唯一まともに英語が理解できる遠野が頼られたが、怖がってまごついているうち、事態を治めたのは一番頭が悪く今はフリーターをしている男だった。

 

知識はあっても何もできず、頭は悪くても事態を好転させられる。

 

結局、遠野は昔からのイメージを覆せず、名前も間違えて覚えられたままだった。

 

 

彼がそうして何もせず震えていると、安斎が早乙女を猿に向けてぶん投げた

 

そして3体が怯んだ隙を突き、渾身のタックルで突破口を開いた。

著者名:志名坂高次 引用元:モンキーピーク6巻

 

 

59話

タックルで槍を持った一体が屋根から落ちた

 

安斎は続け様に盾を持った猿を殴り、防がれはしたが落とすことに成功

 

もう一体の鉈持ちは、投げられて負傷し体勢を崩している早乙女に止めを刺そうとしていた。

 

 

その前に八木が杭を投げ、見事に頭に突き刺した

 

それでも猿は倒れず、杭を抜き他の二体の後を追って屋根から飛び降りた。

 

 

安斎はすぐに後を追い、宮田と八木も続いた直後、佐藤の悲鳴が響き渡った

著者名:志名坂高次 引用元:モンキーピーク6巻

 

 

猿たちは佐藤を人質に取り、小屋の入り口の前に立ち塞がっていた。

 

 

早乙女と林も屋根から地面に降り立ち、遠野だけが残された。

 

遠野は出来損ないの爆弾を見つめ、どうすれば佐藤を助けられる考え、奇襲しかないと思った。

 

今まで事なかれ主義で安全地帯から一歩も出てこなかったグレーの人生に終わりを告げるため、他の皆と同じく猿に立ち向かう覚悟を決めた。

著者名:志名坂高次 引用元:モンキーピーク6巻

 

 

屋根から下りずに小屋の中を移動し、崩れ始めた木材に服を焦がしながら、爆弾を抱えて猿たちの背後を取った。

 

 

60話

爆発するぞと脅し、佐藤を解放するよう迫る。

 

彼女は今更の優しさとどうしてそこまでして助けようとするのか、たった一言で訊ねる。

彼はただ、生き残って欲しいとだけ答えて再度解放するよう迫った。

著者名:志名坂高次 引用元:モンキーピーク6巻

 

 

しかし、脅しは利かずに槍で腹を刺され倒れてしまう

 

 

 

理論も仕組みも、間違いなく爆発するよう作ったはずだった。

 

鍋の中のペットボトルが膨らむ「べこっ」という音が聞こえれば、数秒後にはかなりの威力で爆発するはずだった。

 

こんな生死をかけた状況でも知識は役に立たなかったと後悔した直後、仕掛けがうまく働き出した音が確かに聞こえた

 

 

遠野は歯を食いしばって立ち上がり、槍の猿の背中に組み付いた。

 

早乙女たちが距離を取り、遠野が意地の一言を叫んだ直後、入り口の辺りで大爆発が起こり一気に崩れ落ちた

 

 

混乱の中猿の拘束から抜け出した佐藤は、命をかけて助けてくれた遠野の意地の一撃の光景に言葉を失った。

著者名:志名坂高次 引用元:モンキーピーク6巻

 

 

感想

モンキーピーク6巻でした。
面白度☆10 緊迫度☆9

次の7巻で最終回を迎えそうな局面にまでなってきましたが、本当に1巻からずっと面白いですね。

それにしても、いつ爆発するか分からない爆弾を抱えるって、尋常じゃないレベルの度胸だと思います。

遠野の佐藤への気持ちが何なのか分かりませんでしたし、恋愛要素が不必要な雰囲気でもありますが、佐藤には生き残って救いを感じて欲しいです。