だから、ハンジはエレンの単独行動が理解できなかった。
ジークに残された時間は減っているし、地鳴らしに頼らない案も見つからない。
それでも、ヒストリアに残酷な運命を背負わせないと言ったはずのエレンはマーレに宣戦布告した。
著者名:諌山創 引用元:別冊少年マガジン2018年8号
詰るような問いに、エレンは自分は戦鎚の巨人を食ったと答えた。
戦鎚の巨人は地中の中からでも硬質化を操れる万能で強力な巨人で、今こうして地下牢に閉じ込めても意味等ないという。
始祖の巨人も継承している自分を殺せない、ジークも殺すわけにはいかない。
結局エレンは一人で考え、一人で結論を出し、現時点で最善と思われる方法を取ったことを責められ、頭に血が上っていただけだった。
著者名:諌山創 引用元:別冊少年マガジン2018年8号
胸倉を掴まれたハンジはそれでもお茶らけた自分を崩さず、女性の胸元に手をかけたエレンにエッチだと言い返し、有耶無耶のままに立ち去った。
ここに来て、エルヴィンの団長としての凄さを思い知った。
ミカサがサシャの墓から少し離れて膝を抱えていると、墓の方から騒ぎが聞こえてきた。
サシャの戦死を知って墓参りに来たニコロがマーレ人というだけで悪感情を抱いている兵士に追い返されそうになり、ジャンとコニーが宥めているところだった。
誰よりも自分の料理を美味そうに食べていたサシャの死の悲しみは、一緒にいたはずのミカサたちに向けられたが、自分以上に悲しんでいる彼らを必要以上に責めることはなかった。
著者名:諌山創 引用元:別冊少年マガジン2018年8号
もう国の枠を乗り越えてサシャの死を悲しんでいるニコロにジャンたちは謝るが、二コロはお門違いだと言い返す。
特別な思いを抱いていたのかどうか、コニーの励ましには質問で返し、計り知れない思いが渦巻いているだろうことを悟った。
著者名:諌山創 引用元:別冊少年マガジン2018年8号
その時、サシャの家族もお墓参りにやって来た。
墓の前に膝をつき、泣き崩れる家族。
二コロはせめて鎮魂と遺された家族の悲しみを和らげようと、料理人の自分の料理を誰よりも美味しそうに食べてくれたのはサシャだと伝え、食事に誘った。
するとサシャの親らしいのか、場を和ますためか、無料かどうかを真っ先に気にした。
著者名:諌山創 引用元:別冊少年マガジン2018年8号
イェレナたちは奪取してきた巨人化の薬の全てをピクシスに献上していた。
イェレナは喜んで渡し、ピクシスも十二分に感謝している。
しかし、彼女たちは銃口を向けられていた。
著者名:諌山創 引用元:別冊少年マガジン2018年8号
自分たちが持ち込んだ銃で脅されているが、イェレナは落ち着き払って両者にまた信頼関係が生まれるだろうと言葉を紡ぐ。
ピクシスとしても苦渋の決断だったが、ジークの策を信用して行動するからには、それなりの保険をかけておかなければならないと考えていた。
そのジークは、巨大樹の森に連れて行かれていた。
一方牢に閉じ込められていたガビは、突然の発作にもがき苦しみ、のたうち回っていた。
ファルコの叫びに見張りの兵が駆けつけ、苦しみ悶えているガビに近づいて様子を見ようとしたその時、ガビは握っていた上着を渾身の力を込めて振り回した。
包まれていたレンガが兵士の顎に直撃し、彼は騙されたと理解する暇もなく意識を失って倒れた。
それ以上する必要はなかったが、ガビは刷り込まれた憎しみのままに男の頭に何度もレンガを振り下ろし、完全に殺してしまう。
著者名:諌山創 引用元:別冊少年マガジン2018年8号
死体をベッドの下に隠し、逃げ出した。
行く当てなどなく、心配してくれた兵士のことなど一切省みることなく、誰も信用できない島の中を駆け抜けていった。
ライナーはガビとファルコの声が聞こえた気がして、目を覚ました。
そこは病院の大部屋で、目を覚ますのを待っていたのはジークに騙されていた仲間二人だった。
ヒストリアは山の稜線に沈み行く太陽を眺めていた。
お腹の大きな身体を労わる男が中に入ろうと声をかけるが、感情を無くしたように何も答えようとしなかった。
著者名:諌山創 引用元:別冊少年マガジン2018年8号
感想
進撃の巨人107話でした。
過去と今が語られる中、最後のヒストリアは少し時間が経った頃なのか、それとももう何人も産んで命の誕生に無感動になりかけているのか、そのどちらでもないのか。
いや、結局ジークの策に乗ってできるだけ子供を残そうとしている現在でしょうから、一人目か二人目というところでしょう。
イジられることに弱いエレンがまだ子供っぽさを残しているのは微笑ましいですが、かなり追い詰められているようです。