ご近所トラブル
あるマンションに住む夫婦と小さな娘の3人家族。
ある日、娘の自転車が乱暴に倒されているのを見つけ、おそらく隣の自転車の持ち主がやったんだろうと思い、管理会社に連絡し、マンション組合長を紹介される。
著者名:渡邊ダイスケ 引用元:外道の歌6巻
組合長の太田に相談すると、自転車の置き場所は部屋の並びと同じだから、隣人の尾賀という60代で一人暮らしの男の仕業だろうと教えてくれた。
娘が怯えたままなのに怒りが治まらない夫は組合長と尾賀を訪ね、問い詰めた。
尾賀は派手なシャツにアクセサリーをたんまりつけたチャラい服装の男で、自転車を倒したことを認めつつ、補助輪が邪魔で服が汚れるのだと反論し、小さな子供が泣いて怯えていると伝えても、謝罪の言葉一つなく、扉を閉めた。
著者名:渡邊ダイスケ 引用元:外道の歌6巻
そして数日後、夜中に大音量でギターの音が鳴り響き、夫はすぐ怒鳴りつけに行った。
しかし、また子供や母親の怒鳴り声の方がうるさい等と反論されるだけだった。
夫は怒りが限界を超え、金槌を持って再度訪ねた。
そこに騒ぎを聞きつけた太田もやって来て、一先ず彼の部屋で話し合いの場が持たれることになった。
話しやすいよう酒を振舞われた尾賀は、訥々と語り始めた。
最近、バンド仲間で同年代の男が、自宅で孤独死しているのを知ったのだという。
音楽で生きていくのだと決め、上京し、仲間ができ、手応えも感じていた。
そのせいかおかげか、一人二人と辞めていってもずるずると続け、どうにもならない年齢にまでなっていた。
一緒に上京した死んだ親友も40代で地元に帰ったが、尾賀は親も他界していて、実家を引き払ってこのマンションを買ったのだという。
ただ、地元に帰る金も今はなく、親友の葬式にも出れず、自分の家族を作らなかった今、子供や母親の声を聞くには辛かった。
著者名:渡邊ダイスケ 引用元:外道の歌6巻
事情を知った夫は、自分も夫婦の不和でイライラしていたのを認めた。
すると尾賀は頭を下げて謝り、遺恨を残すことなく和解することができた。
後日、尾賀は娘にも謝り、もう怯えられるようなことはなくなった。
それからというもの、人生経験の豊富さから尾賀は色々と頼られることが増え、夫婦とも打ち解け、明るく近所付き合いをするようになっていった。
著者名:渡邊ダイスケ 引用元:外道の歌6巻
しかし、マンション傍の一軒家に住んでいる初老の女はそんな和やかな空気に目敏く気づき、イライラを募らせていた。
そして夜中、自分のものかどうか分からないが糞をマンションの入り口に撒き散らし、花壇を荒らして憂さ晴らしをしたのだった。
著者名:渡邊ダイスケ 引用元:外道の歌6巻
太田はすぐに尼崎という狂った親子の仕業だと気づいた。
数年前からちょこちょこ嫌がらせをしてくるトラブルメイカーだったらしく、こうしてまた問題行動を起こしたのだ。
さらに後日、尼崎は太田が飼っている猫を惨たらしく殺し、マンションの入り口に置いたのだった。
さすがに我慢できなかった太田は怒鳴り込み、警察沙汰にしてやると警告した。
すると尼崎は一切怯まず憮然と受けて立ち、中年の息子が鉈を振り翳して威嚇してきた。
著者名:渡邊ダイスケ 引用元:外道の歌6巻
太田は危険だと思い走って逃げ、道路に飛び出したところを車に撥ねられ、あっけなく死んでしまう。
その様子を、叫び声を聞いた尾賀は目撃していた。
男鹿は目撃したことを警察に話したが、尼崎親子が事実を捏造し、また太田には交通事故以外の外傷がなかったため、運転手だけが罪に問われる結果になってしまった。
尼崎親子は近所でも評判のトチ狂った人間で、触らぬ神に祟りなしと思われていた。
しかし尾賀は太田を殺された怒りが治まらず、これ以上マンションに嫌がらせしないよう警告しに、相手の家に乗り込んだ。
そこで、母親が息子のあそこをしゃぶって性処理をしているのを見てしまい、さすがに恐怖した。
著者名:渡邊ダイスケ 引用元:外道の歌6巻
それでも威勢よく対峙したが、尼崎親子の凶行は嫌がらせの域を超え、仲良くなった3人親子も引越しを決意して出て行った。
そして尾賀は、平穏な暮らしを取り戻すため、復讐の代行を頼みに行ったのだった。
感想
外道の歌6巻でした。
面白度☆8 気違い度☆9
堀尾再登場ではどうなることかと思いましたが、滞りなく罰を受けてスッキリ。
たまにあるほっこり回を本当にほっこりできるので、癒し要素はないのに癒されます。
そして定期的にどこかで騒がれるご近所トラブルですが、こうして相手の人柄を知って和解するケースがあればいいんですが、こういうのも間に入る第三者がいてこそでしょうね。
尼崎と言えば、嫌でも奴らを思い出しますし、実際にも怖い事件がありましたね。
親子は他にもえげつないほど罪を犯していたようなので、それに見合っているくらいの罰を受けました。