ただ離婚してないだけ
13話14話15話ネタバレ感想
ただ離婚してないだけの漫画最新話と最終回まで、最新刊ネタバレと感想、あらすじ、エロ画像、結末、漫画を無料で読める方法を紹介。
良かれと思ってしたことが裏目に出、萌の彼氏の佐藤に接触した正隆は殺しがバレそうになり、思わず階段から突き落とした。
佐藤は死ななかったものの、雪映が入院している間に部屋に監禁しなければならなくなった。
そして退院した彼女にも知られ、佐藤を始末しろと迫られる・・・
13話
愛しているから離婚する気はない。
そんなおためごかしは瞬時に見抜かれ、一緒に人を殺したから離婚できないのだと言い返された。
正隆はそれに何も言えなかった。
沈黙は、その通りだと認めたようなものだった。
赤の他人の糞を見た後に出た夕食のカレーを食べ終え、また雪映の詰問が始まった。
ちゃんとしてと言うのが、殺意を持って殺す以外の意味がないと分かっていた。
だから、言われたからといって覚悟できるようなものではなく、もう少し待って欲しい旨を伝えることしかできなかった。
雪映は呆れ返りながらも仕方ないと受け入れ、悪い結果しか生まない夫の行動を制限するため、約束事を言い渡し始めた。
それは社会人なら誰でも知っている、報告、連絡、相談をちゃんとするというだけだった。
しかしそれを怠った結果、待っているのは殺人の発覚で二人の人生の終わりだった。
いや、このまま順調に育てば何の罪もないまだ見ぬ我が子の人生も狂わせることになる。
そこまで頭が回っているようには見えない正隆は返事が遅れ、促され、また妻の機嫌を損ねた。
洗い物に立った雪映の背中に向け、正隆は謝り、いつかはちゃんとすると宣言した。
しかし雪映はそれに答えず、この後は買い物に行くと通常の日常のように予定を伝えた。
そして、あの部屋が臭くなっているとも伝えた。
それに返事をせずボケッとしたままの夫にまた呆れ、何をすべきか冷静に指示を出した。
正隆は今、汚物だらけの監禁部屋のドアを開け、気分が悪くなる糞溜めの臭いで眉間に皺を寄せていた。
ちゃんとするとは言ったが、正当防衛的に萌を殺したのとは違い、佐藤は保身のための殺しになる。
それが避けられないことだとは嫌でも分かったが、自分と同じように糞を捻り出す人間を自分たちのために殺すと言うのは、恐ろしさの次元が違っていた。
そんなことより今は、洗面器ではなくわざわざ床に撒き散らされた糞の処理に嫌気が差し始めていた。
その時、佐藤のジャケットから携帯が震える音が聞こえてきた。
そしてまた正隆は、自分が初歩的なミスをしたことに気づいた。
電話の不在通知とラインのメッセージ履歴で画面が埋め尽くされている。
電源を切っていいものかどうか判断できず、そもそも萌が働いていたガールズバーのオーナーである佐藤と従業員の萌が同時期に消息を絶ったと分かれば、さすがに誰かが警察に通報している可能性を考えなくてはならない。
知り合ったほのかに訊くにしても不自然さはどうにもできないし、雪映への相談が先だと正隆は忘れなかった。
更にポケットから、車のキーまで見つけてしまった。
今更ながらに、佐藤が深夜に家に押しかけてきたことを思い出した。
普通に考えれば自分の車で来ただろうし、もし路駐でもしてレッカーされていれば、もう警察に所有者が誰かバレている。
正隆は佐藤から話を聞くため、三日ぶりに袋を外し、今にも死にそうに苦しんでいるのを見た。
佐藤は単純に、息苦しさと衰弱で弱っているだけだった。
正隆はこのまま死んでしまうのを恐れ、急いでハサミと水を取りにいき、ぐるぐる巻きにしたテープを切り、勢いよく水を飲ませた。
佐藤はむせ返りながらも気力を取り戻したようで、大きく息を吐いて正隆を睨みつけた。
すると正隆は部屋から逃げ出してドアを閉め、また今更ながらなけなしの申し訳ない気持ちを叫んだ。
一階に戻り、買い物途中の雪映に電話し、佐藤がぐったりしていることを伝え、やはり殺すのは無理そうだと報告した。
しかし雪映は甘えを許さず、あっさりと切った。
雪映は大量に買い込んで帰ってきた。
大人用オムツを始め、掃除道具、拘束道具、人体や法医学の本など、佐藤を消すために必要なものが冷静に選択されていた。
雪映は後々のこともしっかり考えていた。
殺すだけでは何も解決せず、自分たちが捕まらないためには殺人が立証できないようにするしかなく、殺すまで、佐藤には最低限の世話をちゃんとする必要があることも分かっていた。
それも全く考えが及んでいなかった正隆は何も言えず、穏やかな顔の妻が逆に怖かった。
そして三日も経ってから車のキーを見つけたことを伝え、自分が恐れたのと同じことを声を荒げられて詰られ、自分の落ち度でしかないから何も言い返せなかった。
彼は車のことをまだ訊いていない理由に、都合の悪くなることを佐藤が話すはずがないからと言い訳した。
しかし雪映は否定し、玄関から傘を一本取ってズンズン階段を上がって監禁部屋に入った。
そして佐藤が怒鳴りつけてくるのを無視し、無言で足に傘の持ち手を振り下ろした。
叩きながら車をどこに停めたのか訊き、喋ろうとしないと言うまで続けると脅す。
すると佐藤は諦め、どこに停め、どんな車種なのかも白状した。
拷問を冷静にやって見せた雪映は振り返り、不甲斐ない夫に分かったか訊ねた。
これは人ではなく、モノ。
そう思えば、何も躊躇しないで済む。
そんな考え方も伝えた雪映は再度分かったか訊ね、また夫が何も言わずにあっけに取られているから返事を促した。
正隆は、はいと言うしかできなかった。
14話
雪映が買い込んできた拘束グッズは、すぐに佐野に装着されていった。
猿轡をはめ、鎖でベッドと繋ぎ、自転車やバイクの車輪につかうようなキーロックで自由な身動きを封じ、手足はバンドで稼動域を狭めた。
ただボールタイプの猿轡は具合が悪く、つけ続けさせるのは難しそうだった。
こんな状況になっても、まともに喧嘩すればおよそ勝ち目のない佐野に敬語を崩せない正隆は、おっかなびっくり指示を出しながら、オムツまで穿かせていく。
これからどう扱うか、どう時間を過ごす必要があるのかもびくびくしながら説明するせいで、佐野は憮然とした顔で睨みあげている。
正隆の態度には、まるで怯えを見せない佐野。
しかし、覚悟が完全に決まり、相手を人間扱いしないことを余裕で徹底できている雪映は包丁をチラつかせ、携帯のパスコードを早く吐けと迫る。
汗一つかかず、眉一つ動かさないこの女がヤル女だと体験した佐野は仕方なく白状するしかなかった。
今までもそうだったが、免許を持っているのが雪映だけなのか、パーキングに停めてある佐野の車を取りに行ったのは雪映だった。
だが戻って来てすぐ、佐野に対する正隆の下手に出た態度を注意した。
さん付けなど論外で、オドオドした態度も相手をつけ上がらせるだけだという。
それはそれとして、佐野の携帯のメール等をチェックした雪映は、佐野が行方不明になっても探されないかも知れない可能性を感じていた。
借金督促のメッセージが多く、それを苦に失踪したとしても不自然ではないし、そんないい加減な経営をしているからか、今のところ、連絡が取れないことを心配してくるようなメッセージは届いていなかった。
それで正隆が気を弛めそうになるとすぐに注意する辺り、不倫の引け目があってもなくても、雪映の尻に敷かれるのは変わらない証拠に見えた。
妊娠したことを職場に伝え、産休をできるだけ早く取るつもりだと伝える雪映。
妻の体を心配して賛成し、すっかり深夜の時間になっていることに驚く正隆。
そんな会話はやっとできた子供で繋がる、再スタートを切った夫婦にしか見えなかったが、二階の暗い部屋では赤の他人が監禁されていた。
殺人共同生活9日目の朝、雪映は朗らかな笑顔で行ってきますと挨拶し、徒歩で職場に向かった。
玄関先で送り出した正隆は佐野用の食事を乗せたトレーと威嚇用の包丁を持った、
家で仕事をしている正隆の役割は、朝と夜に食事を運び水を変え、下の世話。
どうしても仕事で外出しなければならないときは、できるだけ雪映の休みの日に合わせること。
そして昨夜注意されたことを胸に刻みながら、監禁部屋のドアを開けた。
それでも、今まで使ってきた敬語だけは止められなかった。
雪映を真似て包丁をチラつかせながら、動かないよう指示しながら口のガムテープを外し、手足の稼動域を広げ、オムツを替えるために立たせる。
まだ正隆を舐めている佐野は素直に足を上げず、不遜な態度で優位を示そうとする。
だが正隆は雪映と同じように淡々とした言い方で主従関係を分からせ、目を見ようとはしなかった。
それで佐野は言うことを聞き、正隆は食事を置いて時間管理していることだけを伝えた。
とは言え、手枷をつけられたままの佐野は不満を漏らし、外せと喚く。
正隆は自分が任されていない役割は無視を決め込み、ドアを閉めた後、ある種の達成感を感じて大きく息を吐いた。
仕事終わりに電話をかけてきた雪映の声音は、朝に比べて少し機嫌が悪そうに聞こえた。
それは正隆がトラブルを発生させずちゃんとやるべきことをやったのか不安からくる無意識の気分の波なのかも知れない。
正隆は夜の世話をし終わったばかりだと返し、無視したことを楽しそうに伝えた。
すると雪映の機嫌がパッと良くなったのが分かった。
食べたいものがあるかと訊かれれば素直に肉だと答え、茶化すように聞かなかったことにすると返す雪映。
多くの女性と同じように、気分の良し悪しの波がいまいち読めないのは、雪映も例外ではなかった。
恋人の時も夫婦になってからも掴み切れなかったが、なんだかんだと機嫌がいい時は可愛い妻に違いなく、結局夕食のリクエストに応えてくれたり、普通の会話ができることが、今は何にも代え難い幸せだった。
だから、雪映がいい気分でいてくれることが最優先事項であり、二階からの転落が自殺かどうか、殺人で繋がっていると言った事が本気かどうか確かめたい気持ちを抑え込むのは、難しいことではなかった。
難しくないとは言え、聞けないモヤモヤはうず高く積もり、こんな状況に巻き込んでしまった引け目を強く大きくしていく。
不倫、殺人、監禁・・・
そんな男と結婚して後悔しているに違いないと思うも、本音を聞きたくない気持ちも混在していた。
仕事にキリをつけ、風呂に入ってから寝ようとしたその時、リビングの電気が点いているのに気づいて消しに入ると、寝室にいると思っていた雪映が頭を抱えながら、拘束グッズと一緒に買い込んだ本を読み込んでいた。
正隆が声をかけると肩がビクっと跳ね、普通に驚いた。
それを契機に寝ようと言い、寝室に行こうとする。
その背中を正隆は呼び止め、もし露見すればこんなことになってしまった責任は全部自分が取るつもりだと伝えた。
真顔で聞き終えた雪映は一言、「罪なんかどうでもいい」と答えた。
自分の中に新しい命が宿っていると知った雪映は、自分の苦悩より、我が子を我が手で育て、与えてくれる全てを感じ、与えられるものは全て与えたいと考えているだけだった。
我が子を愛するどこにでもいる普通の母親と同じく、殺人犯の子供にさせるわけにはいかない。
我が子に不幸を背負わせないためなら、いくらでも悪に染まる覚悟ができていたのだ。
15話
ハエが飛んでいた。
それは洗濯物を干していた雪映の頬にピタッと止まった。
すぐ気づいた雪映は顔を振り、ハエは頬から飛び立った。
どこにでもいつでも起こり得る日常の一幕にしか見えなかったが、現在この家においてハエは看過できない存在だった。
洗濯物の隙間を縫って飛んでいったハエを目で追った雪映は、手すりに手をかけて下を覗き込んだ。
すると、室外機の辺りで数十匹くらいのハエが飛び交っているのに気づいた。
その辺りは、正隆が萌を埋めた場所だった。
殺人共同生活10日目。
雪映はハエの存在を正隆に報告し、一体どのくらいの深さに埋めたのか訊いた。
具体的な深さは答えなかったものの、言い訳がましい言葉にそれほど深く埋めていないことが察せられた。
雪映も実際に腐臭がどれほど酷くなるのか調べていたので、覚悟はしていた。
調べたところによると人間の腐敗臭はかなりのキツさで、なおかつ、腐敗は土の中では地上の8分の1のスピードでしか進まない。
地上で10日目だと、巨人様観と呼ばれる、見るも無残なグロい様相を呈している状態だった。
たとえどんな状態になっていようと、ハエが集まってくるほど臭いを漏れさせているまま放置するわけにはいかず、掘り起こしてもっと深く埋め直す必要がある。
腐臭が地上に上がってくれば近所に不審がられ、もしかしたら野良犬が嗅ぎ付けて掘り起こすかも知れない。
正隆は腐乱した萌を見るのが嫌で可能性を否定しようとするが、まだ最悪を想定しようとしないことを荒々しく詰られ、唾を飛ばされてしまう。
そのキツい言い様で正隆は一気に意気消沈し、最善の作戦を声に出して思案し始める雪映の声に集中できなくなった。
雨の日の夜。
ご飯時の喧騒に乗じて7時か8時頃。
そう考えると、昼時の作業ならガーデニングだと思われるかも知れない。
ベストは土砂降りの日だが、都合よく豪雨が起こるのを待っていられない。
とにかく、雨の日に決行することだけ雪映はパッと決めた。
雨の日はもう決定事項で、理解したかどうかだけ訊く雪映。
一度で返事しなかったことに雪映は掘り起こすのを回避しようとしていると思い、諭そうとするが、図星を指された正隆は大きな声で言い返した。
そしてすぐ、大きな声を出したことを後悔した。
ただ、それで話が終わると思ったのに雪映が、今度は佐野の処分も避けて通れないことだと言い始め、正隆は何度も同じことを聞かされたせいで、心の中でおざなりな返事を繰り返して落ち着こうとした。
だが結局頭に血が上り、完全に怒鳴り返してしまった。
それも瞬時に後悔した。
法医学の本を閉じた雪映は口を押えながら立ち上がった。
今度こそ無言で部屋を出て行かれたことで、正隆はまた感情的な自分を後悔した。
一階で夫婦喧嘩が勃発したなど知る由もない佐野は、脱走計画を企てようとしていた。
自由を奪っている手械足枷に繋いでいる鎖は、ベッドの枠組みに通されている。
横木と縦木の繋ぎ目がL字プレートと接着剤で固定されていることから、力づくで枠組みを破壊するのは難しそうだった。
おそらくこれも妻の方の知恵だろうと予想しつつ、枠を掴み、何とか持ち上げられる程度の重さなのを確認した。
引きずって移動するならできそうだと当たりをつけ、篭絡するなら明らかに気弱そうな正隆にするべきだと考えた。
一人ソファでクッションを枕にしていた正隆は、どこまでも不甲斐なく頼りない自分を顧みていた。
不倫と相手の妊娠で二重の苦しみを与え、殺人にも巻き込んでおいて、医者の忠告も守れずに雪映をストレスにさらし続けている。
そうしてしまうのも、聡い雪映に見透かされたからだ。
逃げたいと思った時に逃げてはダメだと言われ、反射的に声を荒げて否定してしまった。
ハエが集ろうが腐臭が漏れ出ようが、炎天下に放置された生ゴミが入ったゴミ箱の蓋など開けたくなかった。
自分が殺した萌の腐った姿など、見たくはなかった。
殺人共同生活11日目の朝。
正隆は今まで通りに淡々と佐野に朝食を運び、オムツを取り替え、さっさと部屋を出ようとした。
そこで佐野は出て行かれる前に声をかけ、萌の名前を出して動揺を誘おうとした。
簡単に心を揺さぶられた正隆は話に食いつき、萌の家庭環境がどんな状態だったのか訊ねた。
佐野の話が本当かどうかなど分からなくても、雪映の話よりもよっぽど集中して聞いた。
父子家庭の萌には警察の厄介になるような中学生の弟がいるが、父親は愛人のところに入り浸ってろくに家に帰らず、姉よりも母親のような立場で一家を支えていたのだという。
だからか、妊娠発覚後からの様子は明らかにおかしくなった。
佐野は正隆の罪悪感に訴えようとしたが、彼はまだ自分の家庭を優先する気持ちを失っていなかった。
その日の内に雷雲が垂れ込め、午後から明日にかけて激しい雨が降るだろうと予報が発表された。
感想
ただ離婚してないだけ13話14話15話でした。
雪映が冷静過ぎて怖いですね。
最初に殺人隠蔽を持ちかけたのも彼女ですが、その後はメンタルをやられて耐えられなくなるかもと思いましたが、死に切れなくて完全に吹っ切ったんでしょうね。
それに、夫が頼りなさ過ぎてそうするしかないというのもあるでしょう。