スポンサーリンク
スポンサーリンク

 

本来の現代の文吾を心は知らないが、この世界の文吾は89年に出会った心のことをちゃんと覚えていた

 

仲違いして心が変わった現代に戻った後、心は行方不明として探され、しばらくして東京に帰ったとして納得された。

 

その年の二月過ぎ、金丸が音臼岳の再調査を一人でしている時に、誤って崖から落ちて死んだらしい。

著者名:東元俊哉 引用元:テセウスの船5巻

 

 

三島病院は閉鎖され、長谷川の婚約者の佐々木紀子も村を出た。

 

その二組の行方を知る者は、村には誰もいなかった。

 

 

やがて春が来て慎吾も小学校に入学するが、文吾は無差別殺人が起きるかも知れないと思い、どうにか学校と掛け合ってお泊り会を中止して欲しいと頼んだが、未来のことを知っているなど言えるはずもなく、警察だとしても行き過ぎた介入を煙たがられるだけだった。

著者名:東元俊哉 引用元:テセウスの船5巻

 

 

やがて6月24日が訪れ、せめて鈴と慎吾は参加させず、警備するために学校に出張っていた。

 

 

例年と同じように楽しそうにしている子供たちと保護者。

 

文吾の制服姿だけ悪目立ちする中、気が立っていた彼は、さつき先生が小瓶の中身をコップに移したのを見て、思わず声を荒げて問い詰めた。

著者名:東元俊哉 引用元:テセウスの船5巻

 

しかし、それはただの田中に飲ませるための薬だった。

 

 

参加させてもらえないことに納得していなかった鈴と慎吾が来ているのを見つけた文吾は、明音の死の責任を感じて泣く娘を抱きしめた。

 

万が一、無実の自分が逮捕されてしまう可能性も頭に入れ、子供たちが無実だと信じられるよう、自分は父親なのだと言い聞かせた。

著者名:東元俊哉 引用元:テセウスの船5巻

 

 

 

結局事件が起きたのは25日の朝で、青酸カリは牛乳に混入されていたことが分かった。

 

そして佐野の家から身に覚えのない青酸カリが発見され、文吾は犯人として逮捕されてしまった。

 

 

 

そこまで聞いて面会時間が終わりそうになった最後に、この前鈴が面会に訪れ、今度赤ちゃんが生まれると言っていたのを教えられた。

 

 

 

面会が終わって札幌の雑踏を歩きながら、あの絵が鈴を描いたものかもしれないと思った。

 

ネットカフェに戻り、改めて音臼事件の被害者を調べてみると、本来の被害者と異なっていることが分かった。

著者名:東元俊哉 引用元:テセウスの船5巻

 

 

心が担任したクラスの何人かは死んでおらず、さつき先生も助かっているようだった。

 

ただ、当日に鈴を見たと言う目撃証言もあったらしく、本当に鈴が一連の事件に何も関わっていないのか信じきれなくなりそうだった。

 

 

 

後日、再び面会に行き、衣服などを差し入れてから、渡しておいたあのたくさんの気味の悪い絵について訊いてみた。

 

文吾もそれらが、明音の件の時に見た風速計と似た画風だと感じているという。

 

そして、妊婦らしき絵が妊娠中の鈴を表している可能性が高いとも感じていた。

 

封筒の消印は札幌の東区で、鈴が今住んでいるのも札幌の東区なのは、偶然と考えるにはあまりに都合がよ過ぎる。

 

 

心は文吾に鈴の住所を教えてもらい、40歳になる随分変わったらしい姉に会いに行った。

 

 

表札に名前が書かれていないマンションの一室のチャイムを押し、誰かが応答してくれたが、鈴という人はいないと言われてすぐ切られてしまった。

 

訳が分からず、カーテンが閉ざされた部屋を名残惜しそうに見てから帰ろうとしたその時、「心?」と女性が声をかけてきた。

 

立っていたのは、鈴と違って目鼻立ちがハッキリした妙齢の綺麗な女性だった。

著者名:東元俊哉 引用元:テセウスの船5巻

 

スポンサーリンク