オニャンコポンから話を聞こうとしていたのはハンジだった。

 

パラディ島に十分な恩恵を授け、信頼を築いていたはずのタイミングで急に疑われ、監視のために兵も割いているのを見ると、オニャンコポン怒りよりも呆れを感じていた。

 

しかしハンジは、オニャンコポンが何気なく愚痴った一言を聞き逃さず、顔をズイっと近づけて目から真偽の程を確かめようとした。

著者名:諌山創 引用元:別冊少年マガジン2018年11号

 

 

イェレナがエレンと密会していたことを知らなかったオニャンコポンは驚くが、彼女ならそこまでしてもおかしくはないという風に顔に出ていた。

 

顔色を読まれたオニャンコポンはイェレナについて話し始めた。

 

 

反マーレ派を集めて義勇兵を組織したのはイェレナで、寄せ集めの組織を信頼関係で結びつけるため、イェレナ自身が友人関係を築いていた相手であっても自分たちに疑いを抱いたマーレ人を秘密裏に始末していった。

 

だから義勇兵は、確固たる信念に命を懸けられるメンバーだけが集まり、結束力を強めていった。

著者名:諌山創 引用元:別冊少年マガジン2018年11号

 

 

ならばなぜ、パラディ島に来てからのイェレナは、マーレ人を極力殺さないようになり、仕事と多少の自由を与えているのかハンジは疑問に思った。

 

マーレ本土ではなく島だからだという理由だけではしっくりこず、義勇兵の信頼を誰よりも気にしていたイェレナがなぜ、裏切りと思われかねないエレンとの密会を決行したのか?

 

何か考え付いたハンジは、オニャンコポンを連れて話をしに行こうと考えた。

著者名:諌山創 引用元:別冊少年マガジン2018年11号

 

 

 

アルミンは自分にとっての悪い人であるアニのところにいた。

 

水晶の中で眠り続けているアニを見つめ、手を触れさせようとしたその時、下りてきた誰かに怒鳴りつけられてしまった。

著者名:諌山創 引用元:別冊少年マガジン2018年11号

 

 

珍しくアルミンを本気で驚かせたのは時折アニに話しかけている元ルームメイトのヒッチだった。

 

 

アルミンはまるで風俗通いを見咎められたようにあたふた言い訳を捲し立てる。

 

ヒッチはヒッチらしく女の子に興味津々なアルミンをからかうと、風俗通いの生き甲斐を奪われんとした彼は歪な音を漏らし、慈悲を請うた。

著者名:諌山創 引用元:別冊少年マガジン2018年11号

 

 

もちろん、面白半分でからかっただけのヒッチはアルミンの行動を制限するつもりなどなく、稀代の大量殺人犯だとしても、まだアニを憎み切れておらず、寝てるだけなのにモテることを皮肉った。

 

 

地下から二人で地上に戻り、ヒッチは持っていた新聞をアルミンに渡して読ませた。

 

最近、マスコミの格好の的にされている兵団に関する記事が多く、これも不信感を煽る内容だった。

 

それも兵団が最重要機密事項を明かせないから仕方ないと言えばそうだが、民衆は不安と不信を募らせていた

そして今も、騒ぎが起きているようだった。

著者名:諌山創 引用元:別冊少年マガジン2018年11号

 

 

民衆が兵団本部の前に押し寄せ、エレン解放を訴えて叫びまくっていた。

 

しかもここだけじゃなく、支部にも民衆が押し寄せているようだった。

 

 

ヒッチが処理班に呼ばれたところでミカサがアルミンを見つける。

 

その直後、なぜか調査兵団の新兵がうろついているのを見かけた。

 

ともかく今はザックレーとの面会時間が迫っており、疑問に感じつつもザックレーの部屋に行かなければならなかったので部屋を訪ねた。

 

そして話し始めて早々に、エレンと面会させるわけにはいかないと言われる。

著者名:諌山創 引用元:別冊少年マガジン2018年11号

 

 

10ヶ月前から義勇兵と接触し、マーレ潜伏と奇襲を独断専行したことが明らかになったが、エレンは依然として何も話さず、マーレでのどう時間を過ごしたのかも黙秘している以上、余計な接触をエレンに与えるわけにはいかないということだった。

 

そんな状態で実験を行うのは不可能なのはもちろん、兵団としては、義勇兵がエレンと密会したことを重大な主権侵害だと捉えていた。

 

そして、エレンはジークの操り人形になっているのではないかと疑っていた。

著者名:諌山創 引用元:別冊少年マガジン2018年11号

 

 

それは、まだ少数の者しか知らない極秘の見解のようだった。

 

エレンと特別な関係にある二人だから話したと言われても、ショックが大き過ぎてアルミンは咄嗟に聞くべきことを言葉にできない。

 

代わりにミカサが、「エレンはどうなるのか?」と訊ねた。

 

それにザックレーは何も言わなかったが、二人は無言を貫かれたことで、ただでさえ短いエレンの未来がすぐに消されることを察した。

著者名:諌山創 引用元:別冊少年マガジン2018年11号