クズの本懐5巻ネタバレ感想
皆川茜に向けられている好意を奪い取り、一泡吹かせてやりたい。
早苗のアドバイスが頭をよぎり、茜と一緒にいた若い男に狙いを定める花火。
巻数目次
23話
目の前の男が年上好きだと分析した花火は、今だけ使えるJKキャラと年下の強みを全面に押し出していく。相手の心の声が聞こえそうなほど食いついてきて、あっさり連絡先を交換するところまでいけた。
どこにでもいそうな軽いノリのチャラ男で、こんな男の好意を奪っても大した打撃にはならないかも知れない。
でも、一度遊んでみてから細かいことは考えよう。
さっそくカラオケで密室の中に二人きりになると、それらしい雰囲気を出してくる。取りあえず皆川との関係で牽制してみると、あいつには他もいるからさと、割り切っているみたいだ。
このままじゃ、この男の数ある内の一人にされてしまう。それじゃだめだ。本気にさせてあの女から奪わないと意味がない。その為なら、処女だって武器にしてやる。
ほら、その特別なモノに見せる目。もっと欲しがって、もっと私に浴びせて・・・
あいつが見えなくなるくらいに。
24話
本当に好きな人のキスがどんなものかまだ知らない。
これは、目的のための手段だ。どんなに気持ちよくても心を開いてはいけないんだ。
上気した顔を見られて、いきなりホテルに誘われたけど、気持ちの問題があるからと断ってみた。でも、気持ちなんて気持ち良かったらついてくるでしょと言われて、そうかも知れないと流されそうになる。
だって、お兄ちゃんを思って麦としたキスは気持ちよかったけど、少しずつ麦本人としてるキスでも気持ちいいのが分かったから。
固くなった部分を触られて、たまにはバカになるのも必要だし、ずっと真面目じゃ生きていけないよと言われると、また少し納得して流されそうになる。
あの女ならどうするか?
頭の中の皆川は、いつも花火を煽って来るだけで、ぶれる所がない。
クズを演じるには、スタートの位置が違うのに気付いた花火。
でも、ある人にされる評価が全てを変える。それが恋。
その人の特別になろうとすれば、全てが壊れるかも知れない。そう思うと怖くてしょうがないけど、妹のままではいられなくなったんだよ。
25話
花火と付き合うようになって、弁当を作ってくれることもあった。そつなくおいしく、そつなく楽しいお昼の時間。何の問題もないはずだ。
花火が唯一友達と呼べる絵鳩が、「花火はモテるから油断しちゃだめだよ」と意味深なことを言ってきた。
あの時のキスマークの相手を知っているのかも知れない。でも、その後でちゃんと付き合い出したんだし、切れてるはずだ。そう考えようとしても、絵鳩の言葉が渦を巻いて離れない。
別れ際にしたキスでも、変な感じはしない。いや、それでこそ麦好みになってきた。彼の歪んだ嗜好が疼いて仕方がないのだから。
そんな時に、真っ直ぐなのり子を見ても何も感じない。ただただ純粋な好意をぶつけられても、何もそそられない。
花火とのキスを見ても、麦はあの女に本気じゃないから諦めきれない。そう言って、泣きながら好きだと言って諦めてくれない。
ならデートに誘ってみた。いい加減な気持ちで誘ってると分かるはずだし、少しは引くだろう。俺は王子様じゃないから。
でも、相手がクズでもいいくらい、のり子の好きは強かったんだ。
26話
どうにかして、この男を本気にさせなければいけない。なのに、あまりのチャラさにペースを惑わされっぱなしで、思うようにいかない。
しつこいくらいにホテルに誘って来るし、ヤリたいと躊躇なく言ってくる。
そんなところに電話がかかってきたと思ったら、ヤラせてくれる女から呼び出しかかったから行くわと、勝手に解散しようとし出した。
観たかった映画に誘ったけど、やっぱり麦にとってはつまらないかも知れないと思うと、すんなり入れない。でも、麦は分からないことには頓着しようとしない。その態度に、今は振り返って声をかけてくれるだけで十分だと思うのり子。
映画館の席は思ったよりも近くて、テンプレートな恋愛映画は頭に入って来そうにない。映画の中での恋は叶っていた。
叶わなくてもいいくらい好き。そう言ったけど、やっぱり嫌だ。こんなに近くにいるのに手も繋げない。
私は嘘をついていた。
27話
結構おもしろかったし、もしつまらなかったらそれは映画が悪いだろと言ってくれる麦。薄暗い中で好きな人と手を繋いだ。まるで夢みたいだったけど、それはまだ覚めてないみたい。
思わず引きとめたけど、結局ヤラせてくれる女の方に行かれてしまった。好意を向けさせるなんて程遠くて、単なる「欲」しか感じてくれない。
それでも浮かれてしまった。どれが恋で、どれが欲なのか?すれ違うカップルを見ると、どうしようもなく羨ましくなる。
一体、いつからこんなに女になったの?
執着されたい。夢中にさせたい。優位に立ちたい。
最初は純粋な恋心だったはずなのに・・・
今は、麦に慰めて欲しい。
麦は気を使ってくれて電話に出なかった。
せっかく今日一日楽しかったんだ。このまま笑顔でいなきゃ。
夢はいつか覚める。どうせ叶わないなら、出来る限り楽しい思い出にしたい。それを糧にこの先、生きていけばいいじゃない。
思いつめた様子に麦は気付いてくれたけど、なかなか言葉が出てこない。やっと出てきた言葉は、何回も伝えた「すき」だった。
すると、私の王子様が初めてのキスをくれた。
28話
前に麦の部屋に来たのはいつだっただろう。デートは楽しかったけど、同じくらい物足りなかった。
麦とは趣味も考え方も正反対だった。でも、最後に泣いてだだを捏ねれば、いつだって寄り添って慰めてくれた。そうすれば、絶対許されるって知ってた。
自分はお姫様じゃなく、麦も王子様じゃない。そんなことは気付いてた。
麦には、今彼女がいて誰かの特別になっている。本当に好きなら、ちゃんと振り向かせてからじゃないと意味ないじゃない。
そう思っていたのに、今は触れたくて仕方ないの。
感想
クズの本懐5巻でした。
やっとのり子も動き出しました。今のところクズではなく、健気で純粋なお嬢様気取りのめんどくさい子って感じです。可愛いな。
やっぱり茜が出てこないとクズ度が足りなくてパンチ力がないですが、出てきたら出てきたでクズやなって思いますけどね。
酷い過去でも持ってて欲しいキャラNo.1なので、クズらしく頑張って欲しいです。