クズの本懐7巻ネタバレ感想
早苗に誘われ軽井沢に旅行に来た花火。
そこに、早苗の従兄弟の篤也もいて波乱の予感。
それぞれの思いは交錯していく・・・
巻数目次
36話
早朝に目が覚めた花火と篤也。自然たっぷりの風景の中を散歩していると、誰が好きなの?とにかく早苗に対する気持ちだけ決めて欲しい、と篤也は切実な顔で言った。
下着姿で起きてきた早苗。目のやり場に困る篤也。
その日はアウトレットモールに出かけ、早苗はめいっぱいはしゃいでた。公園で一休みしていると、同じようにはしゃいでいるカップルを見て、不意に早苗がキスをしてくる。
早苗は誰かの代わりにしていい存在じゃない。そう思うし篤也にもそう言われたばかりだ。なのにまだはっきりと拒めない。
別荘に戻って懐かしいレトロなゲームをやり始めると、小さい頃にお兄ちゃんとしていた頃を思い出して、また視界がぼやけてくる。
そんな花火を見て、早苗も決着をつけようと優しく抱きしめる。どうしたって二人の好意は重ならない。だから、すっぱり諦めるつもりだった。
37話
今までありがとう。いろいろ利用して、つけこんでごめん。もう諦めるね。
花火が失恋しても、私のことをそういう風に見れなかったら諦める。旅行前から決めていたことだった。
でも花火は違う意味で諦めきれない。早苗の気持ちを知っても友達でいて欲しい。激しい雨の中で声を荒げる早苗。それがどれだけ残酷なことなのか。どれだけ好きだったのか。友達面なんて、今更できるはずがなかった。
早苗が花火を知ろうとしたように、花火も早苗のことが知りたかった。同じ怯えた目をしたかけがえのない友達・・・
花火の勢いに押されて早苗は受け入れることにした。友達だと思える日がまた来るか分からないけど、頑張って忘れるから。そう言って全てをさらけ出した二人は、最後のキスをした。
38話
夏休みが終わり、久しぶりに学校に行った花火。麦とも早苗ともお兄ちゃんとも変わった関係性を思うと、夏の終わりを助長させるような物悲しさを感じていた。
モカには、あんたもフラれたんだとほくそ笑まれる始末。同じフラれた同士なのに、相手は溌剌としているのが、妙におかしくて不思議だった。
放課後になれば、茜と麦は彼の部屋で過ごしていた。どこにいても先生として接してくるけど、そういうプレイを楽しんでいるかのようにしか思えない。
でもどういう風な態度でいられても、気持ちいいのは変わらない。
そんな日の夢の中には、花火や先輩、モカが責めるように見つめてくる。サルのようにしてしまうほど、先生とするのは気持ちい。そう言うと、夢の中の花火は涙を流していた。
39話
茜の初体験は高校生の時、二つ上の先輩とだった。
女の子なら憧れるような幸せを敷き詰めて、踏み躙って気紛れに弄ぶ。昔からそうして自分の価値を味わう方法しか知らなかった。
隣で寝ている麦の綺麗な髪や顔を見ていると、思わず自虐的なことを言ってしまった。それを慰めようと彼は、ビッチで打算的で自己中なところが振り切れてて逆に魅力だと、歪な慰め方をしてくれる。
綺麗な器に綺麗な魂が宿るとは限らない。そんな自己評価は的を射ていると思う。だから麦が感じている一体感を打ち砕きたくなる。休日に誘われても、その日は鐘井先生の日だからと隠すことなく断った。
自分たちは似てるから、これで変わりようのない部分があるって再認識できるでしょ。
40話
先生からキスをしてきたのは初めてだった。だから、ありきたりなラブソングみたいにモヤモヤが消えてくれない。
男の性欲に感情は二の次だって知ってたつもりだったのに、今はそうじゃないこともあるんだって気付いた。
思い切って鐘井先生と会わないでほしいと言うと、するする躱して人の心を弄ぶのを止めようとしない。一度や二度刺されてもおかしくないくらい、その姿勢はブレなかった。
そんな態度を取れるのも、先生は誰のことも好きにならないからだ。だから惚れたら確実に負ける。ほんの少しの執着も抱いてくれない。
嫌いになりましたと引いてみても、心にもない笑顔で餌を揺らしてくる。
どうして、こんなクズ女を好きになったんだろう。
41話
何回目かの鐘井先生とのデート。
なにの、最初にしてから一回も求めてこない。土曜日のデートだってホテルに行きたそうな素振りさえ見せなかった。
そんなことを考えさせることが更にイラつかせる。
安楽岡さんには悪いけど、もう終わりにしようかなと思ってた。そんな時に限って、関係があった男と出くわしてしまう。そいつは悔し紛れなのか、私の本性を鐘井先生に告げてから去って行った。
つまらないデートとも相まってイライラが募り、自分がどういう女なのか捲し立てる言葉が止まらない。
クソビッチですぐ男と寝て、異性の好意が気持ちよくて同姓の嫉妬が気持ちよくて、その性格を変えるつもりも直すつもりもない、と。
なのに、彼は一歩も引かなかった。
感想
クズの本懐7巻でした。
収まるところに収まっていきそうな気配が漂ってきました。お兄ちゃんが茜のどこを好きなのかが謎ですが、母の面影を重ねているのが大きいなら、かなり手強そうです。
私はモカを応援します。もう前に出てくることはないでしょうが。