18話

パピコが一足下ろすたび、轟音が鳴り地面が揺れた。

 

東京に出現した破壊神を目の当たりにしていない人々は、いきなり現れた全裸の巨大な女を目撃しても、あっけに取られて逃げようという気さえ起こらなかった。

 

子供連れの母親はただ、我が子に卑猥なものを見せないように目を覆ったが、僅かに遅く、子供は確かに大きな胸を右に左に揺らして走る美人で巨大なお姉さんを見てしまっていた。

 

母親が間に合ったのは、真下から見上げるアングルで女性の身体を見せずに済んだことだけだった。

著者名:奥浩哉 引用元:ビッグコミックスペリオール2018年18号

 

 

 

ちほもまた、一足ごとに地面を破壊していた。

 

だがやはり、一気に駆け抜けていく彼女を見た人々はあっという間の出来事に何をするでもなくただ見上げるだけだった。

著者名:奥浩哉 引用元:ビッグコミックスペリオール2018年18号

 

 

巨人の女がひた走っている光景は、世界の終わりと言うより、どこかシュールさの方が強く感じられた。

 

ちほはとにかく全速力で走り続けた。

著者名:奥浩哉 引用元:ビッグコミックスペリオール2018年18号

 

 

陸上トラックを走っているように道路の上だけを走り、ビルや線路に触れないようスルスルと都会を駆け抜けていく。

著者名:奥浩哉 引用元:ビッグコミックスペリオール2018年18号

 

 

人々は踏み潰されるかも知れないと思うよりも、残像を発生させるほど振り乱れている胸に目を奪われていた。

 

 

 

クーパー靭帯が切れるのも構わずちほが走り続けている頃、零たち家族は何とか無事に地下鉄から地上に脱出していた。

 

土煙に咳き込みながらもどうにか逃げ延びたが、目の前で幼い子供を含めた一家が崩落に巻き込まれたのを見た彼は、どうしようもない悲しさや無力感に襲われて涙が零れ落ちてきた。

著者名:奥浩哉 引用元:ビッグコミックスペリオール2018年18号

 

 

咳き込みながら前に走り、横断歩道を渡って目の前のエスカレーターに飛び乗り駆け上がっていく。

 

地上より少し高い位置に来た彼はふと振り返り、あちこちから黒煙を上げてボロボロになっている東京の街を眺めた。

 

直後、ビルの陰に破壊神がいるのに気づいた

著者名:奥浩哉 引用元:ビッグコミックスペリオール2018年18号

 

 

そのビルはまだ無傷で、周りにはヘリが何機も飛んでいる。

 

しかし破壊神は地上にいる小さな彼を見下ろし、彼は見上げ、確かに目が合った

 

 

彼は死に物狂いで走った。

 

両親が自分の名前を叫ぶ回数と、破壊神の足音の回数は、圧倒的に前者の方が多かった。

 

しかし、足音の方が遥かに早く近づいてくる

 

彼は今度は、自分が死ぬかも知れない恐怖で涙が溢れ、目を瞑りながらがむしゃらに走った。

 

しかし、巨大な足裏で踏み潰そうとしてきて、急に頭上が暗くなった。

著者名:奥浩哉 引用元:ビッグコミックスペリオール2018年18号

 

 

もう駄目だと思った時、破壊神がちほにタックルされて吹き飛ばされた

 

翼が生えたイカツイ顔で性別を超越したような破壊神と、知る人ぞ知るAV女優のパピコがヒーローのように現れた、企画物AVでも類を見ない怒涛の展開

著者名:奥浩哉 引用元:ビッグコミックスペリオール2018年18号

 

 

現時点では彼だけが、全裸の女性巨人が最高の味方だと知っていた。

 

 

生中継中のレポーターは、ピンクの髪の巨人がもう一人現れたと叫んだ。

 

それが全裸の女性であることに興奮しまくり、全国のお茶の間に向けて声を大にして叫んだ。

著者名:奥浩哉 引用元:ビッグコミックスペリオール2018年18号

 

 

ちほは無事に、彼と一緒にもちが待つ部屋に帰れるのだろうか?