復讐の未亡人30話31話
ネタバレ感想
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斉藤に近づくために住所を割り出し、マンションの階まで暴こうとする山下。
オフの日にも呼び出し、自分に興味がない彼に更に惹かれていく。
蜜の美しさも目の当たりにし、嫉妬はすぐに殺意へと変貌していった。
30話
美月は子供の頃から美少女で周りの目を引きつけていた。
薫に手を引かれて買い物に出れば、擦れ違う人たちは今すぐに美少女子役として人気者になれそうな美月に注目するが、薫と全く似ていないこともヒソヒソ囁いた。
母がそれらの心無い言葉に苛立っているのに気づいた美月は、ハーフに思われる原因になっていた色素の薄い髪を自分で母と同じ真っ黒な髪に染め上げ、自慢気に叔母に見せた。
優衣は姉がやったのかと思って驚くが、薫にそうではないと言い返され、それにも驚いたが姪の健気さにほっこりした。
小さな子供が母に近づこうとしたことに、姉は愛されているのだと感じた。
娘を愛した覚えのない薫は皮肉を返すが、優衣は子供にとって母は神様みたいなものだという。
すると、薫はそんな風に思ったことなどないと一蹴した。
美月も母と似た容姿になれて嬉しかった。
従兄弟たちと遊びながら、似ていると言って欲しくて陽史に訊ね、期待通りの答えが返ってきたら満面の笑みを零す。
しかし、薫を心の底から侮蔑している優吾は認めなかった。
心の醜い薫と綺麗な美月に同じ血が流れているなど思いたくなかった優吾は攫われてきたに違いないと言うが、美月本人は怒りもせずママの子供だと言い返す。
証拠なんて、美月が薫を愛しているだけで十分だった。
その日、優吾は一人で家に駆け戻り、乱れる息もそのままに母に美月の緊急事態を伝えた。
二人で一緒に遊んでいる途中で美月が公園内のトイレに行った時、待ち構えていた男に誘拐されたのだった。
優衣は焦って公園の辺りを捜索し始めるが、薫は一切焦らず、明るい髪色が目立つことで防犯になっていたのに、髪を黒くしてパッと見で注目を失ったから誘拐を実行されたのだと、美月に責任の一端があるかのように分析を得意気に語った。
そして、美月の父親候補だという男に誘拐されたことを連絡した。
薫も男関係が乱れすぎていて誰が美月の父親なのか分からないらしいが、それはあえてそうしているという。
多くの男たちに父親かも知れないと思わせ、子育てに協力させ、今もネットで監視カメラのデータを確認させて行方を捜しているのだった。
焦っていないのは美月も同じで、見知らぬ男にいきなり攫われ、どこかの家の中に連れ込まれ、今も目の前に気味の悪い男に張り付かれていたが、泣き叫ぶようなこともなく、叔母たちを心配させている状況にストレスを感じているだけだった。
程なく、誘拐犯の家に宅配便を届けるチャイムが鳴った。
男が普段通りに玄関に受け取りに出てサインをしようとしたその時、業者の男が誘拐犯の顔に何かを吹きかけた。
業者を装った父親候補は薫に連絡し、指示通りにしたがどうなるのか訊ね、失明だと聞かされるが、特に気にも留めなかった。
誘拐犯の叫びに出てきた美月は水を求める誘拐犯を無視し、助けに来てくれたのが父親じゃないことを残念がった。
無様にのた打ち回る誘拐犯を跳び越え、悠々と自分の足で玄関から出た。
車で迎えに来た薫は美月を乗せ、黒髪のままがいいという父親候補に対し、痛む髪を綺麗に維持するためにも、援助次第だと交渉した。
そして蜜になった美月は妊娠中の今、近所に不審者情報が拡散されているので、あえて黒髪ロングのカツラを被り外出した。
壜を持った男が尾行してきているのに気づきながら、あえて人気のない細い道に入って誘導していく。
犯行に及ぼうとしてきたのを感じて自分から声をかけ、どこの誰か調べがついているのを突きつけながら振り返り、相手が今からしようとしていることを先にした。
まだ少年の佐藤はあの時の誘拐犯のように絶叫し、顔を押えた。
まさか顔が焼け爛れるような液体をかけようとしていたことに蜜は驚きで口を覆うが、全て想定の範囲内だった。
ただの水を危険な液体だと思い込むのも想定内で、顔を掻きすぎて失明するならそれはそれで因果応報だと思った。