たとえ灰になっても
41話42話43話ネタバレ感想
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見事に姫蘭に鬼を押し付けたまま、チェンジを失敗させたユキ。
しかし、麗奈はフグドクに挑むも返り討ちに遭い、身動きを封じられたままだった。
41話
骨が軋むような固めで拘束されたままだった麗奈は、ついに外し方が分かったと言った。
残り時間は僅かの今、ハッタリをかます意味はない。
フグドクはそれでも自信満々に外して見せてよ、とニヤつく。
麗奈は息を荒げながら、カッと目を見開き、一気に動いた。
すると本当にフグドクの腕を振り払い、円の中から抜け出したのだ。
それだけで安心せず、尻餅をついたフグドクが体勢を崩している内にでーんを仕掛けた。
だがフグドクも素晴らしい身のこなしで宙を舞い、簡単に躱してみせた。
フグドクは宣言通りに抜け出した麗奈を賞賛し、この固めのからくりを説明し始める。
本能的に痛みから逃げる人間の反射を利用したこの固めは、肘の関節を抑えていて、無理矢理外そうとすれば痛みが走り、骨が折れないように反射的に元の体勢に戻ってしまう。
肘を抑えられてはいるが、その実、その状態を保っているのは固められている方だった。
ならば、痛みを乗り越えれば抜け出せる。
その仕組みに気づいた麗奈は、肉を切らせて骨を断つではないが、腕を犠牲にして自由を取り戻したのだった。
方法は分かっても骨を自分で折るなんて尋常の覚悟でできるわけが無く、フグドクはその気合も認めはしたが、肝心なのはどうやって鬼を移すかだ。
そう思ったフグドクが振り返ると、なぜか麗奈は大粒の涙を零していた。
視線はフグドクの後ろに向いていて、驚きの後に心からの笑顔になり「ルセット」の名前を呼んだ。
まさかとは思ったが、フグドクは好奇心に負けて視線の先を追った。
もちろん、そこにはルセットどころか誰もいなかった。
フグドクが再び首を前に戻すと同時に麗奈はナイトメアを発動。
全く予期していなかった死者の蘇りへ強制的に意識を向けさせた、麗奈の心理的作戦だった。
フグドクも例外なくトラウマを呼び起こされ、パニックになって膝をついた。
固めから抜け出してからの作戦も見事に成功させた麗奈だったが、骨折した痛みは想像以上で、今すぐジッとしていたい誘惑に駆られそうになる。
しかし喝を入れ、第一ステージで惨たらしく死んでいった者たちのためにも、この程度の痛みに耐えないわけにはいかなかった。
そして生きるべく、フグドクにでーんしようと駆け出した。
フグドクの背中にタッチし、ルセットの顔を思い浮かべ、でーんを宣言。
確かに背中に触れてでーんと言ったはずだが、鬼の移動が起こらない。
正確にはでーんを言う前に背中から手を離されていた。
ナイトメアでトラウマを呼び起こされ、他の参加者同様、まともに動けないはずだった。
ナイトメアは確かに発動してヒットしていたが、そもそも楽しいだけの人生を送ってきたフグドクにトラウマなどなく、全く効果がなかったのだ。
そして腕を取られた麗奈はまた固められ、無事な方の腕を抑えられてしまった。
万事休す。
固めから抜け出せても両腕を使用不能にしてしまっては、最早でーんするのは不可能。
完全敗北を察した麗奈は、申し訳なさと恐怖で子供のように大声で泣き始めた。
逆に完全勝利を確信したフグドクは、死して花になり、花束の一部になれという。
地獄で摘んだ赤い花なら「愛しい人」も喜んでくれると高笑う。
その時、フグドクをいじめっ子と称する何者かが割り込んだ。
常称寺の一族には生前縁深い関係にあったと語る老齢した言葉遣いの少女は、ミステリアスに片目を隠した鈴野りんで、麗奈のピンチに駆けつけたのだった。
そしてフグドクをあえて毒素名で呼んだ。
自身を老人と語る鈴野りん。
大胆不敵に舌なめずりするフグドク。
涙が止まらない麗奈。
残り、2分を切った。
42話
絶望して泣く麗奈の前に現れた鈴野りん。
飄々とした態度そのままに、麗奈を解放してやってくれるようフグドクに持ちかけたが、彼女が「はいそうですか」と答えるわけもなく、嫌だと言ったら?と訊き返して反応を待った。
途端にりんは目に見えそうなほどの殺気を放った。
空気が冷たく震え、りんの背後に死神が浮かぶ。
圧倒的な本物の殺気に、さすがのフグドクも恐怖した。
身体が自然とバックステップを踏み、麗奈から手を離して円から出ていた。
りんはすかさず負けだと宣告し、円の中から出ていることを指摘すると、フグドクはしてやられたことを楽しむような笑みを零した。
笑みと共に漏れ出す笑い声は止まらず、じわじわと箍が外れていき、心底楽しい大笑いをしたかと思うとりんを褒め、殺気に臆し、死に恐怖し、足まで震えていることを喜んだ。
フグドクは現世での殺害人数を訊ねるが、りんは飄々と躱す。
自分が圧倒的実力を持っていると自負しているからこそ、強者に出会えたことに喜びを見出していたイカれたフグドクは、りん、偽子、そしてこの鬼ごっこで未だ大きな動きを見せていないショーコに一目を置いていることを仄めかし、屋上から見下ろすショーコを仰ぎ見た。
麗奈との約束通り、円から出た自分の負けを認め、麗奈を見逃した。
代わりにりんに準決勝で戦えと誘い、殺気で気圧されたにも関わらず殺してやると吐き捨て、テレポでどこかへと消えていった。
助けられた麗奈はしかし、自分の手でルセットの仇を取れなかったことを悔しがり悲嘆に暮れる。
りんは助けてもらえるならそうすればいいと声をかけ、守ってあげたくなる人柄だからルセットも命を懸けたんだろうと励ました。
それはそれとして、麗奈の腕の痛みは変わらず治まる気配はなかった。
ただりんが診たところによると、酷い捻れだが折れてはいないらしい。
そしてグッと力を込め、接骨の経験があるらしく骨の痛みを軽減させてくれた。
至れり尽くせりだが、もう残り1分と少し。
フグドクに狙いを絞って鬼を押し付ける作戦は失敗し、これから他の子を見つけて勝負を仕掛けて鬼を移す余裕はとてもない。
このまま本名を明かして潔く散ろうとさえ考えていた。
するとりんは、目の前にいる自分が子だから探す必要はないという。
自分と老人だと語るりんは、ルセットのように庇護愛を刺激されたのか、現世の贖罪か、麗奈の鬼を引き受けるつもりだった。
残り1分半を切り、クロエルとシロエルも残酷なる死を迎える3人が誰なのかワクワクドキドキし始めていた。
ゲーム開始時に誰が鬼だったのかはクロエルさえも知らなかったが、現状、ユキ&亡々史、偽子&リヴの無敵組4人はこのままゲーム終了を待てばいい。
フグドク、雫、沙羅、カエデ、ショーコは単独で動いていて、鬼か子かはまだ判別できない微妙な状況だった。
そしてユキに完全敗北した姫蘭は正気を失なっている様子。
そしてもう一人、鬼が確定している麗奈と、助けようとしているりん。
果たして、麗奈が助けてくれた相手を殺せるほどの非情さを出せるかが見物だった。
鬼の行方もそうだが、クロエルはこの中に紛れているであろう救いの御子が誰なのか見極めたいと思っていた。
姫蘭が鬼だと暴露するユキの報告を信じた沙羅は、姫蘭に一番狙われているはずの亡々死を助けるため、手を繋いで無敵状態にしてあげようと探し回っていた。
人を踏み台にできる人間がその汚い本性を躊躇いなく出すことで勝ち上がれるゲームを止めるには、最後の最後で姫蘭の策略に乗らずに己の正義を貫こうとした亡々死の力が必要だと考えていた。
そして走り回って探した結果、運良く校舎の陰から出てくる亡々死を見つけることができた。
しかし、亡々死は既にユキと手を繋いで無敵になっていて、沙羅の手は必要なかった。
残り1分。
43話
亡々死を助けようと息せき切って走った末に見つけた沙羅だったが、既にユキと手を繋いで無敵状態になっていて、不必要な世話になった。
ユキは姫蘭から助けてくれた命の恩人だと聞かされ、ホッと一息吐いてゲーム終了まで亡々死を守って欲しいと頼んだ。
しかしユキは眉一つ動かさず、利用しているだけだと答えた。
その言葉に、沙羅は聞き覚えがあった。
動揺を悟られぬよう、早々にその場を離れることにする。
亡々死と準決勝で会おうと約束し、残り1分を切った騙し合いに戻る。
そして慣れ合おうとしないしないユキの言葉を背中に受けながら、さっきの言葉を反芻する。
冷たく聞こえるが、ただ一人に深い愛を注いでいる揺るぎない決意。
それはメガネの奥で鋭い目つきをしていた四宮良真だと気づいた。
そしてユキが四宮なら、守るべきものが誰なのかも自ずと分かった。
フグドクを退け、りんと二人になった麗奈だったが、今度は恩人を犠牲にしなければ生き残れない究極の選択を迫られていた。
早くでーんすればいいと言われるが、親族をも殺したりんがどうしてここで命を捨てて他人を助けるのか理解できなかった。
りんはお喋りな天使と外れない鈴に恨み言を漏らすも、表情は依然として変わらない。
老獪した話し言葉のりんは現世で莫大な資産を持っているらしく、我が子や孫にまでそれを狙われていて、最も狙っていたのが予選で戦った3人だという。
だから殺すのに躊躇わず、唯一心を許せた常称寺の姓を名乗る麗奈なら、助けるに値すると考えた。
それに生き返っても現世の身体は病に冒されていて余命幾許もなく、このまま黙って遺産を悪辣な人間に渡すくらいならと、天使の誘いに乗ったのだった。
事情を聞いた麗奈はりんの胸に手を置いた。
死に場所を決めていて、自分を守りたいと言うのなら、それを断る理由はない。
ルセットにも報いるため、他人の死に躊躇している場合でもなかった。
りんは穏やかにそれを受け入れるが、麗奈は小さく震えていた。
相手がフグドクだったからこそでーんすることに何の躊躇いもなかったが、相手が恩人だと、予選でも誓ったはずのお金への執着が揺らいでくる。
自分は冷酷無比な常称寺麗奈だと言い聞かせても、「でーん」の一言が喉でつかえてしまう。
残り1分を切り、カエデは完全に勝ち残ったつもりで浮き足立っていた。
しかも全体を通して大した危機もなく、持っている自分を思ってスキップしていた。
しかしそこに、まだ生きるのを諦めていない姫蘭が現れた。
ぶつぶつと呟いていた姫蘭はカエデを見つけると、作戦も何もなく絶叫しながら追いかけ出した。
そして落ちていたレンガを拾い、思いっきり投げつけ、見事にカエデの背中にぶち当てた。
思わぬ衝撃にぶっ倒れたカエデすぐには立てず、尺取虫のように地面を這いつくばった。
自分こそが生き残る存在なんだと信じて疑わない姫蘭は、金を持って生き返らなければならない理由を息荒く仄めかすが、その時、誰かが肩を組んできた。
それは、ずっと観察者の立場を守っていたクロエルだった。
姫蘭は言わずもがなの反則をしたのだった。
この鬼ごっこゲームはあくまで、知恵と勇気とスキルで戦う前提であり、そこにあからさまな暴力を介入させるのは当然禁止のつもりだった。
冷静にナイトメアを使って足を止めなかった愚行を指摘し、久しぶりに本領を発揮したグロい罰が姫蘭に与えられた。
いきなり肘の辺りが爆発し、血がカエデの顔面にも飛び散った。
姫蘭の腕は半分以上吹き飛び、生焼けの骨付き肉のようになってしまった。
絶叫してもんどりうち、失禁。
地獄の痛みを味わう姫蘭に構わず、5分後に腕は元通りになってでーんとスキルも使えるようになると説明するが、当然それは鬼ごっこの負けを意味する死刑宣告だった。
おぞましき罰を受けた姫蘭を置いて、カエデは走り去った。
クロエルもこの先何が起こるか楽しみな鬼ごっこ。
残り30秒。
感想
たとえ灰になっても41話42話43話でした。
バトル漫画の戦闘シーン並みに刻んできますが、そろそろ麗奈サイドは決着がつきそうですね。
キャラ的にフグドクが退場しそうですが、りんが大して見せ場もないまま退場するのか。
ついに次回、鬼ごっこ終了か。