雨の日の相合傘

なぜあんなに冷たくされてしまったのか?

自分の落ち度は何だったのか?

 

同じく鍵に務めているチカコの天真爛漫な明るさが、例えサービス用の笑顔であろうとも、六朗はとても救われる思いだった。

 

 

内から滲み出る性的欲望を見透かされたのか?

でも、清い交際がしたいんだと呟きながらも、彼はまたポルノ小説片手に雪乃を妄想しながら自慰に耽るのだ。

 

 

気分転換に、姉の家に行って姪と遊ぶのは身体は疲れても精神衛生上とても健康に良かった。

著者名:吉田基已 引用元:官能先生1巻

 

 

とは言え、長兄の息子である甥は立派な大人になって、結婚を考えている相手もいるそうな。

しかし、未だ独身の六朗に気を遣って踏み切れないでいた。

 

もちろん六朗は甥の幸せを願っていて気になどしないが、姉はここぞとばかりに独身で生涯を終えそうな弟を心配して、あれこれとせっつくのである。

 

 

そうこうしているうちに、雨の気配がたちこめてきた。

六朗は姉から逃げるように、お稽古事に行っている上の姪っ子に傘を届けるために飛び出していった。

 

すると、雪乃と出会った神社に吸い込まれるように立ち寄った。

 

そこでまた雪乃に思いを馳せ始めると、あの時あげたお守りと、それに繋がった鍵が落ちているのを見つける。

 

ふと視線を上げれば、何かを探してずぶ濡れになっている雪乃がいるのである。

著者名:吉田基已 引用元:官能先生1巻

 

 

 

六朗が近づくと、お稲荷様の後ろに隠れて、赤らめた顔を見られないようにする雪乃。

 

追いかける方と逃げる方で、右に左に数回動いた後、逆をついて六朗は彼女の進路を塞いで微笑み、拾ったばかりの鍵を差し出した。

著者名:吉田基已 引用元:官能先生1巻

 

 

予想通りそれは彼女のもので、そこでは素直にお礼を言ってくれる。

 

「こんなに濡れているのに放っておけない。送らせて下さい」

「平気です」

 

いつものように鋭く尖った拒絶の強さはなく、六朗は諦めなかった。

 

 

すると、やはり雪乃はお祭りの夜に会った事を覚えているのを打ち明ける。

 

「お忘れになって・・・見知らぬ男性に寄り掛かって足を投げ出すはしたない女だと嗤って・・・暗い匣にしまって、どこかに放って下さい」

 

雪乃もちゃんと覚えていた。

様子や言葉からして、悪しからず思ってくれている。

 

六朗は反射的に抱きしめた。

あの夜、同時に恋に落ちていたのだが、ただ色々な恥じらいが邪魔をして、雪乃に頑なな態度を取らせていた。

 

相合傘の中でしたキス。

著者名:吉田基已 引用元:官能先生1巻

 

 

そこに姪っ子が通りかかったことで、僅かな時間で祭りの続きは終わった。

 

 

彼女を家まで送り、帰り道でも夢が途切れないように雪乃を思う。

 

家について文机に向かい、原稿用紙に溢れ出る淫靡で性に塗れた文章を書き連ねていく。

その間も、左手は股間に伸びていたのであった。

 

 

感想

官能先生1巻でした。
面白度☆8 ノスタルジック度☆8

夏の前日に比べると激しい情動は抑え目ですが、まさに猫のような雪乃には画廊の女とは違う魅力があっていいです。

文学的でありつつ、恋愛漫画でもあるしエロチックさもある。

梅雨の時期には丁度合う1巻目でした。最後雨でしたから。