甘酸っぱいすれ違いが起きる中、とにかく早く脱出しようとして、彼はヒントらしき彼女の後ろにあるものに手を伸ばす。
それで顔が近づき、全身が密着したことで彼女は嬉し恥ずかしのパニックに。
著者名:安田剛助 引用元:じけんじゃけん2巻
するっと彼の足が股の間に侵入してきたからもう大変。
思わずロッカーが倒れてしまいそうなほど、ビクッとなってしまった。
ごめん。
こっちこそごめん。
お互い真っ赤な顔で謝った後、彼女は思い切って訊いてみた。
「ウチ、臭くないん?」
すると、どうやら彼はそんな風に思っていない事が判明。
なら、どうしてそんなに顔を背けるのか?
そう、真実は一つ。
先輩好きを公言している彼でも、ちゃんと四ツ名を女子として見ていたことが分かり、彼女はニヤニヤが止まらない。
著者名:安田剛助 引用元:じけんじゃけん2巻
これはチャンスかと思った直後、嫉妬と不真面目さに怒った先輩が扉を開けて脱出させた。
著者名:安田剛助 引用元:じけんじゃけん2巻
みすりーどじゃけん
今日は私の推理を聞いて欲しいと言い出した先輩。
まだ読んでいる途中のミステリ小説の犯人が分かったから、その閃きを訥々と誰かに語って聞かせたいようだった。
だが、まだその本の内容を全く知らない戸入は、聞かされても何とも言いようがないんで、先輩が読み終わった後に貸してくれたら読むんで、その後で聞きますよと提案。
すると先輩は、心底小バカにした顔で「それじゃ遅いじゃろう」と言った。
それはもう、完全なるドン引きだった。
著者名:安田剛助 引用元:じけんじゃけん2巻
先輩が言うには、読み終わった後なら犯人もトリックも分かっているのだから何とでも言えて説得力の欠片もないとのこと。
今、謎解きが始まっていない時点で謎を解明したとことを証明してくれる証人を欲している先輩の圧力に負け、彼は引き受けた。
著者名:安田剛助 引用元:じけんじゃけん2巻
推理を聞かせる前に彼に小言を言ってから本題に入った。
これこれこういう事件で、こうなってこうなるから、この描写が怪しいとドヤと言わんばかりに語る先輩。
彼のリアクションが求めていたのと違うと見ると無言でまた圧力をかけ、賞賛の言葉を強引に引き出して優越感に浸るめんどくささ。
その後で作者に対しても、偉そうに評価してから続きを読み始めた。
翌日。
部室に行くと、先輩が昨日と違う本を読んでいたので、昨日の本の真相を訊いてみると、とんでもない答えが返ってきた。
「何が?」ときたもんだ。
的外れだったことを知られまいと、なかったことにしようとしたのだ。
著者名:安田剛助 引用元:じけんじゃけん2巻
それなのに、しらばっくれるつもりなのに、またミステリを語り出した。
推理小説は作者と読者の真剣勝負である前に、自分の過信との勝負でもあると。
この程度の謎なんか簡単に見破れたわという過信をして思考を止め、結局推理が外れていたなんてよくあることだと。
自分を戒めているのか、強引に乗り切ろうとしているのか判然としないまま、ミスリードには気をつけなさいと、彼に忠告する先輩。
そんな負けず嫌いの先輩も可愛いなと思った直後、確かに彼を睨みつけながら、不穏な一言を呟く先輩だった。
著者名:安田剛助 引用元:じけんじゃけん2巻
感想
じけんじゃけん2巻でした。
面白度☆7 双子度☆7
今回は双子の妹の野薔薇の登場が比較的多かったですし、意外にも感動するエピソードもあって充実した内容でした。
四ツ名のそそる褐色と白肌のコントラストは表紙から拝めるので、是非本の中の彼女も見ていただきたいと思います。