外道の歌4巻ネタバレ感想
外道の歌のネタバレと感想とあらすじと画像、漫画を無料で読める方法を紹介。
慕ってくれていた少女との辛い別れを経験したカモとトラ。
悪が悪を呼び、獲物を虎視眈々と狙う現代社会。
悪に捕まった者が、やがて悪を裁く立場になることもあった。
鶴巻裕
17年前。
後に犯罪被害者復讐支援組織「朝食会」代表となる榎加世子の右腕、鶴巻裕は10歳だった。
古い母屋と、離れと呼んでいるプレハブ小屋がある家に住んでいて、離れは父が何かしらに使う専用部屋になっていて、母と彼は中で何をしているのか知らなかった。
父は支配的な男で、何かにつけて自分が稼いで生活させていると怒声を浴びせ、優位性を保とうとする小さな男で、暴力を振るうこともままあった。
ある日、彼がゲームボーイがなくなったのに気づき、仕方なく離れの父に訊ねにいったが、返事がなかったのでドアを開けて中を調べようとした。
すると、最初に目に飛び込んだのは小さな女の子の服と排泄物が溜まったおまるだった。
そして奥の布団には、裸の少女が寝ていた。
物音に気づいた少女は振り返って彼を見て助けを求めようとしたが、彼は勇気が出ずに思わず扉を閉めてしまい、少女を見捨てた。
その直後に父が帰ってきて、彼は自分と父をごまかして母屋に戻った。
それから彼は何も行動できず、幾日か経った後で警察が嗅ぎつけて父は逮捕され、少女は生きて保護された。
事件発覚以降、今まで培ってきたものが全て崩れていった。
当然のようにいじめの的にされ、母は仕事をクビになり、程なく生まれ育った町を追われることになった。
しかし、新天地でもネットで広がった情報のせいでいじめは止まず、性犯罪者の息子の人生のハードさは永遠に続くように思われた。
そして彼が17歳の時、母は事件の心労が積み重なって病気になりあっけなく亡くなった。
彼はそれから親戚の家で世話になるようになったが、日がな一日引き篭もってアニメ鑑賞にふけり、久しぶりに外出してもコンビニでおやつを買いこむだけだった。
事件以降、彼には誰一人友達ができなかった。
ふと思い立った彼は包丁を持ち出し、町に出た。
いじめをしてきた奴らに一人ずつ復讐してやろうか、それともどこかにいる父を見つけて恨みを晴らしてやろうか。
そんな風に考えながら据わった目でフラフラしていた時、突然、一人の女子高生にフルネームで名前を呼ばれた。
一目見て分かった。
それは、彼があの時見捨てた榎加世子だった。
榎加世子
彼はずっと加世子を見捨てたことを後悔していた。
胸の奥にしこりのようにずっと残っていたその思いを打ち明けると、彼女はそれを否定せず、あなたがあの時行動していれば、自分の人生は変わっていたかもしれないと答えた。
すると彼女は、あの時をやり直せるかもしれないとしたらどうする?と訊いた。
彼は何でもすると答えた。
彼はとあるビルの一室に連れてこられた。しばらくここで寝泊りしてもらうが、出て行くのは自由だと言われた。
何が始まるのか分からなくても、彼は元の生活に戻ろうとは思わなかった。
翌日、彼女はガタイのいい黒人を一人伴って、生活用品を運んできた。
そして、これから基礎体力、語学を身に付けた後、アメリカに渡ってアメリカ国籍の女性と結婚して現地の永住権を手に入れ、米軍入隊を果たして空挺降下資格を取得してもらうと言った。
つまり、アメリカ軍の精鋭になるための訓練がこれから始まり、この黒人はそのための教官というわけだった。
体力作り、筋トレ、英会話、格闘訓練、繁華街に出て実地訓練。
180度生活が変わった過酷な日々だったが、彼は逃げ出そうとは思わなかった。
加世子への罪の意識と、これから新しいことが始まるんだという高揚感があったからだ。
やがて予定通りの訓練期間を経て、彼はアメリカに渡った。
そして2年があっという間に過ぎ、彼は見違えるような雰囲気をまとって彼女と再会した。
帰国初日はホテルに泊まらせてもらい、翌日にはこれから始まる仕事の研修が始まった。
彼が連れて行かれたのは薄汚いアパートの前だった。その一室に住んでいたのが彼の父で、仕事は父を捕獲することだった。
飲んだ帰りの父の前に堂々と顔を見せたが、相手は目の前の男が息子だとは気づかなかった。
彼は色々な感情に揺さぶられながらも、身に付けたスキルであっという間に父を捕獲・拉致して車に乗せ、彼女に言われるまま、山奥の貸し倉庫に運び込んだ。
その中の様子を見て、すぐにここで何が行われるのか察することができた。
拘束具がつけられた椅子。
あらゆる工具、刃物。
随分老け込んだ父を椅子に繋げ止めながら、散々他人を傷つけてきた報いをこれから受けるんだと思うと、自然と納得できた。
「最初の依頼人は私よ」
彼女はそう言ってナイフを手に取り、まず手のひらをなぞるように切り裂いた。
目隠しをされ、口にボールを詰め込まれている父は涙と鼻水を垂れ流し始める。
彼女が太ももにナイフを突き立てたとき、さすがに彼は目を逸らした。しかし、彼女はそれを許さず、依頼人が間違いを起こさないようにしっかり見なさいと注意した。
彼女は散々切り刻み、男根を切り落として復讐を終えた。
殺さないのか?という彼の問いに、彼女は怒りを押し殺すように答えた。
「殺してやりたいけど、客観的に見て死んで償うほどの罪じゃない」と。
加害者の罪と与える罰とのバランスを見誤ってはいけない。これは、加害者に罪を問うて更生をさせるのではなく、被害者のためだけの裁きの場だった。
彼は父の止血をして、どこかの道端に放置して別れを告げた。
彼女もまた一人の被害者として悩んでいたとき、ある団体に声をかけられて暗い世界に光りを見出していた。
その団体が犯罪被害者復讐支援組織「朝食会」だった。
感想
外道の歌4巻でした。
面白度☆7 親の育て方間違った度☆10
加世子と鶴巻の出会いはこんな風だったんですね。彼のアホみたいな強さの理由も分かりましたし、犯罪としてのえげつなさ度は低かったですけど、読み応えはありました。
他にもトラック野郎の運転事故のエピソードもあります。運転過失致死を起きた状況は色々あるでしょうが、この加害者は捕まった当初は殺されても仕方ないですが、後々の反省を見ると可哀想かなと思わなくもないですね。
まあ、自業自得ですが。