6話~10話

鳳は可能な限り速く突いた。

ただそれは、美化委員長である妄の手を絶対に傷つけてはならないというプレッシャーを感じながらでのスピードだった。

 

しかし、後攻の彼女はイカサマを見抜けない鈍臭さと同じように普通に遅く、妄を苛立たせて声を荒げられた。それで手元が狂い、ついに指の間を突き刺してしまった

 

それで手を止めてしまったことも詰られ、暴言を吐かれ、死ねとまで言われた。

 

屋上で踏みとどまったのも、ゆっくりしていたのも、全て妄を傷つけないようにしていたからなのに・・・

理不尽な暴言を浴びせかけられた彼女はもう遠慮することを止め、言われた通りに殺す気でコンパスを動かし、それは何度も何度も妄の手に突き刺さった

著者名:柊裕一 引用元:賭ケグルイ1巻

 

しかし、手が穴だらけになってもなお妄は彼女を煽り、もっと速くと言いながら恍惚の表情を漏らしてオーガズムを感じていた。

著者名:柊裕一 引用元:賭ケグルイ1巻

 

 

1分が過ぎて我を取り戻した彼女の名前が濡羽綾女だと初めて知った妄は、妙に色っぽいそれにも微笑んだ。

 

気持ちよくて途中から数えていなかったが、圧倒的なスピード差で数えるまでもなく、勝負は綾女の勝ちだった。

相手が生徒会の人間だろうが、ルールは数多く突いたものの勝ちだった。

 

すると妄は綾女に美化委員に入れと誘いをかけた。

人生を楽しむために美化委員長の肩書きを利用している妄は、綾女にも自分と同じ臭いを感じていた。

 

さっき死に物狂いでコンパスを突きたてていた彼女の表情が、心底楽しそうに醜く歪んでいるのを見逃さなかったからだ。

著者名:柊裕一 引用元:賭ケグルイ1巻

 

彼女は委員会には入ることは断ったが、人の指を刺して楽しんでいたことは否定しなかった。

鳳から見れば、二人とも賭ケグルっていた。

 

 

妄はいやらしく絡みついて綾女を委員会に誘うが、そもそも自分にギャンブルの才能があるとは思っていない彼女はきっぱり断った。

それでも、結果的に助けてもらえたので無下にできず、委員会室に行って仕事ぶりを見学することになった。

 

委員会室には数人の生徒が仕事をしていて、その中の華奢な女子が羽々斬直愛。美化委員会の副委員長だった。

 

妄は真っ先に綾女を紹介し、美化委員会に入れるつもりだと話すが、一刀両断で却下されてしまうのだった。

なぜなら妄は、美化委員の誰からも委員長として認められていないからだった。

 

会議は出ない、指示は出さない、ガラの悪い連中とつるむ、委員会の資金を使い込む。

それだけならまだカバーできるが、人格そのものが直愛に一番許しがたかった。

下劣で下賎で外道な妄を異常者と吐き捨て、委員長には相応しくないと宣言した。

著者名:柊裕一 引用元:賭ケグルイ1巻

 

 

だが妄は特に気にした様子もなく、ギャンブルで決めようと言い出した。

 

勝負をするのはあくまで綾女で、全てを賭けたデスマッチ

そして直愛を乗せるために負けた時は委員長を辞めることを条件に出し、賭け代は全部自分が出すことで綾女を黙らせた。

 

妄は全財産の12億1000万を運び込ませ、綾女は委員会資金から3億円を使うことを決めた。

著者名:柊裕一 引用元:賭ケグルイ1巻

 

そして今ここに、綾女の意思を無視した高額ギャンブルがスタートした。