7話
原口は所長と共に学校を訪れた時、既に姫乃に刺されて兵士の一人になっていたのだった。
警察のサーバーに不正アクセスをして今回の作戦の概要を掴んだのが、ほんの数時間前だった。
しかし、こそこそと姫乃を手助けをしようとしているのは既に所長に見抜かれており、あの学校に行ったタイミングで既に兵士になったのだろうと看破された。
もう正体は隠しておけず、堂々と針を出して所長と対峙した原口。
著者名:柳井伸彦 引用元:ヒメノスピア2巻
ただそれで口を塞ぐつもりはなく、自分の拙い技術では重要な情報のハッキングなど無理だからアクセスコードを教えて欲しいと頼み、躊躇いなく土下座をした。
すると所長も、躊躇いなくコードを教えてくれたのである。
所長は警察に知識を授けるブレイン的立場でありながら、個人的な感情で蜂側の味方をすることにし、女王となった姫乃を守ろうとする原口を快く送り出した。
二人を救出した原口は、身を隠すために長野にある観測施設に向かっていた。
携帯の電源を切るように言い、ナビも使用せずに追跡される要素を消していく。
しかし、服部はまず、警察の早すぎる行動と、この日本で銃を使って兵士と一般生徒関係なく殺しまくった異常事態から、今すぐに蜂がどんな存在であるかが知りたくて仕方なかった。
著者名:柳井伸彦 引用元:ヒメノスピア2巻
原口は蜂そのものが具体的に何かは分からないと言うが、特殊部隊要する捜査課は兵士を生み出す女王の能力を軍事や政治に利用するための、捕獲を最優先とする組織なのは間違いないと答えた。
大まかな説明で自分が置かれている状況を理解した姫乃だったが、なりたくてなったわけじゃない女王なので、そう呼ぶのはやめて欲しいと冷静に頼んだ。
著者名:柳井伸彦 引用元:ヒメノスピア2巻
緊張感に包まれたドライブで、やがて八ヶ岳にある観測施設に無事に着いた。
ようやく少し落ち着いたところで、姫乃は自分の意思で仲間を増やしたのだから、皆が殺されたのも自分のせいだと責め始めた。
服部は否定しようとするが、項垂れる姫乃の悲痛な眼差しには、どんな励ましも空虚なものにしかならないと思って口を噤んだ。
その時、テレビで臨時ニュースが読み上げられ始めた。
それはまさに、姫乃たちが通っていた女子高のことだった。
学校で起こった集団テロ事件。
その首謀者が、同校に通う女子生徒H。
Hは犯行グループを組織し、多数の生徒、職員を殺害して銃器を持ったまま逃走中。
著者名:柳井伸彦 引用元:ヒメノスピア2巻
警察が起こした大量虐殺の事実を捻じ曲げ、被害者である姫乃に全ての罪を着せ、マスコミを使って世間を欺むこうとしていた。
あっけにとられる姫乃。
怒りで声を荒げる服部、
まだニュースは続き、姫乃の母親が警察に拘束され留置場に移送されようとしているシーンが映し出された。
著者名:柳井伸彦 引用元:ヒメノスピア2巻
罪状は、娘の少女Hの犯行に協力したという、捏造も甚だしいものだった。
その時、姫乃は音を立てて椅子から立ち上がり、怒りの形相になって針を震わせた。
姫乃を釣り出すための報道だったとしても、虐待してきた酷い親だったとしても、姫乃は母を見捨ててはおけなかった。
友達を殺し、日常を壊した警察。
堪忍袋の緒が切れた姫乃は、母を助けるために一人で東京に戻るのだった。
著者名:柳井伸彦 引用元:ヒメノスピア2巻
感想
ヒメノスピア2巻でした。
面白度☆8 国の闇度☆8
2巻は10話まで収録されています。この後の展開がまた熱く盛り上がりますし、涙ものでもあるので、最後まで楽しめると思います。
個人的には姫乃の謙虚さというか慈悲深さはモヤモヤしなくもないですが、その根っこの部分は失わずにいて欲しいと思います。
もちろん、3巻に続きますよ。