15話

動物園デート当日は快晴だった。

 

 

小学生以来の動物園に浮き立つ入江君。

 

心配だった天気は全く問題なさそうだったが、信子は折りたたみ傘を始め、考えられる不測の事態に対処できるよう、色々詰め込んできていた。

 

それは明かさず、動物園デートが始まった。

著者名:田村茜 引用元:コミックゼノン93号

 

 

最初に行ったのは猿山。

 

母猿が子猿を抱っこしている微笑ましい光景で一瞬会話が盛り上がるけど、どのタイミングで次に動いていいのか分からない

 

それは彼も同じなのか、ふと目が合ってぎこちなく動き出せた。

著者名:田村茜 引用元:コミックゼノン93号

 

 

今はまだぎこちないけど、合わせるだけじゃなく二人のペースを作りたいと思った。

 

 

ミーアキャットは素早く動き回ったり、木に顎を乗せてうとうとしている。

 

それを見ようとした入江君の顔が、一気に信子の顔の傍まで近づいてくる

著者名:田村茜 引用元:コミックゼノン93号

 

 

最初に意識して固まったのは信子。

 

無意識に近づいた彼はすぐ横に好きな人の顔があるのに気づき、慌てて離れた。

 

目を逸らした二人は、相手が真っ赤になっているのに気づかなかった。

 

 

顔が熱くなってくると、気温の暑さも感じられてきた。

 

木陰のベンチで休みたくても、人気ゾーンのこの辺りは家族連れやカップルがたくさん。

 

マップを確認した信子は人気ルートから逸れたシフゾウの傍に静かで落ち着けそうなベンチを見つけた。

 

その時も目が合ったけど、意思の疎通ができたそれに恥ずかしさは感じなかった。

著者名:田村茜 引用元:コミックゼノン93号

 

 

 

静かで涼しくて落ち着けるベンチ。

 

初めて見るシフゾウの佇まいに魅せられていると、二人のデートを盛り上げてくれるようにジッと座っていたシフゾウが軽やかに岩を登り、木漏れ日で自分の姿を照らし、二人を感動させてくれた。

著者名:田村茜 引用元:コミックゼノン93号

 

 

 

ゆっくり休んだ後、売店でお昼ご飯を食べた。

 

でも、信子は彼と二人で食事していることに緊張して、カレーの味がほとんど感じられなかった。

 

 

ペンギンには子供たちと一緒になって手を振り、ウサギと触れ合い、マンモスの骨格標本も見てから最後にお土産屋さんに寄った。

 

 

 

帰りの電車でも二人なりの言葉量で、感想を言い合って楽しかったのを共有した。

 

彼はこの二回目のデートで彼女がどう思ってくれているのか少しでも知りたかったが、ガラス越しのスンとして表情では、全く分からなかった。

著者名:田村茜 引用元:コミックゼノン93号

 

 

金子は付き合う前の駆け引きが一番楽しいと言っていたが、彼女を誘ったのはそんなことをするためじゃなかった。

 

 

地元の駅に着くと、そのまま駅前で、相変わらず敬語で別れを告げ、一応「また」と言い合える距離感でデートを終えようとしている。

 

 

こうして好意を伝えず、また気づかれたとしても、彼女はきっと誘いには応じてくれる。

 

でも彼は、彼女の優しさに甘える自分ではもういたくなかった

 

どこかに出かけられればいいのじゃなく、彼女とならどこでもいい。

 

 

今日こそ伝えようと振り返ると、また目が合った

 

信子は恥ずかしくなって顔を伏せるが、彼は真っ直ぐ見つめて彼女の名前を呼んだ。

 

はい」と顔を上げてくれる彼女から目を逸らさず、ちゃんと自分の好意を伝えようとした。

著者名:田村茜 引用元:コミックゼノン93号

 

 

感想

モブ子の恋3巻でした。
面白度☆8 焦れ度☆8

阿部さんの恋を見分ける観察力と後押しのおかげで、自然に会話できる同僚から特別な関係を望むようになった信子が堪りませんでした。

2ヶ月も焦らして二回目のデートに誘った入江君の心境もぜひ描いて欲しいと思っていたので、最高でした。

早く手を繋ぐところが見たい。