陸の孤島
元の集団に追いついたが先はまだまだ長く、必要最低限の荷物しか持っていなかった彼らは、程なく水不足に陥り始めた。
予定とは違った危機的状況に追い込まれたのもあり、無計画に喉を潤した者はすぐに水を切らせてしまっていた。
著者名:粂田晃宏 引用元:モンキーピーク1巻
次の休憩時に全員の水を集めて平等に分配することになったが、計画的に飲んでいた者からは不満の声が当然あがった。
しかし、全員が生き残るためなのと社長命令だと言われれば、従うしかなかった。
再び班を編成して後少し、もう少しと登り続けたが、怪我人やトラブル、元々のペースのせいか、予定の時間になっても中岳小屋は遥か先だった。
もう暗くなり出したので、今日はそこで野営しなければならなくなった。
班単位で見張りを交代しながら、日の出まで凌ぐことになった。
早乙女が寒さに首をすくめ、遠くの街明かりに懐かしく見惚れていると、またどこからか悲鳴があがった。
その主は林で、彼女の指差す方には、50代のおばちゃんの辻が頭を殴られたのか血を流して殺されていた。
著者名:粂田晃宏 引用元:モンキーピーク1巻
その直後に猿が現れた。
しかし今回はパニックにならず、男たちは石を掴んで臨戦体勢を取った。
怯えた岡島が投げたのを皮切りに、他の男たちも投げ続けたが、暗闇と距離のせいで全く当たりそうになかった。
すると猿は余裕を持った動きで、弓を構えて射ってきた。
著者名:粂田晃宏 引用元:モンキーピーク1巻
人間の投石より遥かに高い精度で、佐藤の横の岩の隙間に突き刺さった。
再びパニックに陥った者たちが躓きながらも登ろうとして、落石が他の邪魔になる。
安斎の投げた石に猿が怯んだ隙に、早乙女と宮田は協力してでかい岩を転がし、猿に向かって落とした。
著者名:粂田晃宏 引用元:モンキーピーク1巻
命中したかは分からないが、猿の攻撃は止んだようだった。
そのまま全員で警戒し続け、日の出を迎えた。
明るくなってから辻の死体を検めた宮田は、それが猿の仕業には思えなかった。
感想
モンキーピーク1巻でした。
面白度☆8 パニック度☆8
これはなかなかおもしろいです。もう少し早く手を出しても良かったですね。
薬害問題で世間の注目を集めた製薬会社に、新社長が就任して、さっそく体育会系のノリで登山レクリエーション。
そこで巻き起こる殺人猿との戦い。
猿というかゴリラマントヒヒって感じですが、まあ薬害と何か関係があるんでしょう。本当の猿にしろ人間の成れの果てにしろ、山においてはチートです。
そして人間側にも内通者か何かいる模様。2巻も必読ですね。