47話

不可抗力と正当防衛とは言え、佐藤は人を殺してしまった事実をすぐに受け入れられなかった。

 

遠野に支えてもらい、飯塚たちのところに合流すると、彼は南が悪かったから仕方がないと言って手を差し伸べるも、身も心も憔悴し切った彼女を駒にするチャンスだと思い、猿のせいにすればいいと、悪魔の囁きをした。

著者名:志名坂高次 引用元:漫画ゴラク2017年11/24号

 

最早彼のイエスマンに成り下がっていた藤柴もあっさり同意し、遠野にも口裏を合わせるよう言った。

 

そんなつもりはなかっただろう彼女はしかし、この場面でまともに頭が働かず、悪魔の囁きを肯定も否定もできなかった。

 

どうして自分がこんな目に遭わなければいけないのかという思いがこみ上げ、母親に刷り込まれた男に頼らずに生きていけるようになれという言葉が思い出され、一度は自分を見捨てた遠野の差し伸べる手をまた拒んだ。

著者名:志名坂高次 引用元:漫画ゴラク2017年11/24号

 

 

新たに現れた猿も襲ってくる様子はなく、ただじっと人間を監視しているようだった。

 

安斎に合流した飯塚は、南は誤って滑落したことにし、佐藤の殴られた痕も転んだことにしてごまかしたが、彼女はそこでも否定できなかった。

 

一度は袂を分かった二組が合流した今、生き残りは10人だった。

 

 

48話

合流してまず、二組は誰が犠牲になったのかを報告しあった。

そしてゆっくり休む間もなく、安斎は三ツ倉小屋へ行こうと声をかけるが、早乙女は足の負傷を理由に後からゆっくり行くと言い返した。

それに宮田と林も同調すると、安斎はここまで来たのと変わらず、さっさと一人で先に行き、それについて行くのは拷問の場面を見ていない田中だけだった。

 

それでもあまり列を間延びさせるメリットはなく、八木が最後尾について早乙女たちも小屋を目指して歩き出した。

すると猿たちも距離を詰め、仁衛門岩に登って見下ろしてきたが、やはりなぜか何も行動を起こそうとはしてこなかった

著者名:志名坂高次 引用元:漫画ゴラク2017年12/1号

 

 

一足早く小屋に着いた安斎と田中は警戒しながら待ち伏せされていないか様子を窺っていると、外にテントが張られているのを見つける。

人影が見えるので中を覗き込んだが、無残に殺された遺体があるだけだった。

 

玄関も開けられていて迂闊に中には入れない。

 

その時、また別の猿が姿を現した。

 

しかもその猿に気づかずに他の登山者が近づいていく。

 

安斎は大声をあげて危険を知らせようとするが、迷彩柄のその登山者は猿に姿を見られてしまった。

しかし、猿は全く興味を示さず、登山者らしき男も平気な様子で巨大猿の横に仁王立ちで、安斎たちに向き直った。

著者名:志名坂高次 引用元:漫画ゴラク2017年12/1号

 

その手には日本刀が握られていた。

その時安斎は、日本刀を所有している社員を思い出した。

 

それは、猿に襲われて死んだと聞かされた長谷川だった。

 

 

49話

安斎が思い出したのは、ある何気ない飲みの席での話題だった。

 

長谷川を含めた数人の席で、何か価値のあるものを所有しているかという話になり、長谷川は父親が日本刀を所有していると話していたのを、思い出したのだ。

 

猿に教われない人間=協力者。

藤谷製薬の人間を待っていたかのように現れた猿たち。

日本刀を所有しているはずの長谷川。

状況証拠だけなら、あの迷彩服の男は長谷川だと物語っていた。

 

その説を聞かされた宮田は反論するが、長谷川の死体を見ていない以上、その可能性を否定しきれなかった。

その時、長谷川に恩義を感じている早乙女が安斎を殴った。

しかし安斎はふてぶてしく平気な顔をして、殴る権利がある早乙女を許した。

 

 

前と後ろを猿と人間に挟まれ、10人で守るには広すぎる小屋に来たことで、仁衛門岩にいた方がまだ有利性を保てているような気がした。

そして、あえて何もしてこずに距離を保っている猿たちの目的が、このまま兵糧攻めでじわじわと死ぬのを待つつもりなんだと気づいた。

著者名:志名坂高次 引用元:漫画ゴラク2017年12/8号

 

とにかく今晩はここで一晩明かしてから、明朝強行突破してでも下山するしか生きる道はない。

 

そこで飯塚は周りの同意も関係なく、グループに別れて見張りを立てようと言い出し、強引な流れで藤柴と佐藤を取り込み、遠野も仕方なく彼のグループに加わった。

 

宮田は早乙女と林を誘い、八木にも声をかけるが、彼は一人で行動すると言って断った。

田中は安斎と組むことにし、3組はそれぞれ見張りと小屋の中に踏み込んでいく。

 

そして小屋の中に入った林は物資の捜索を始める前に、あの迷彩服の男と話し合いたいと言い出した。

著者名:志名坂高次 引用元:漫画ゴラク2017年12/8号

 

 

50話

全員にその提案を伝えると、相手は30人以上殺した殺人集団だと言って一番反対したのは宮田だった。

それは否定できない事実だったが、いくらでも全滅させられるチャンスはあったのにここまで生かされたのは何か意味があるんだと林は言い返し、わざわざ人が姿を見せたのなら、話し合う最高のタイミングだと反論した。

 

すると、早乙女も一緒に行くと言い出した。

戦闘力も機動力も一番の八木が付き添うと言ったが、敵意のないところを見せないと意味がないと言って早乙女が断った。

 

二人は白旗を掲げながら、慎重に猿と迷彩服の何者かに近づいていった。

著者名:志名坂高次 引用元:漫画ゴラク2017年12/22号

 

 

数mのところまで近づき、どうしてこんな殺戮を繰り返すのか問う林。

すると、人間の方が小さな包みを投げてよこし、その直後に猿が林の腕を槍で突き刺した

 

激昂した早乙女が飛び掛ろうとすると、人間が刀を抜いた。

著者名:志名坂高次 引用元:漫画ゴラク2017年12/22号

 

しかし、大した怪我ではなかった林が早乙女を止め、人間と猿が帰れと言っているのだと理解し、話し合いは決裂して戻ることしかできなかった。

 

 

包みはメッセージだった。

 

今夜襲う。

二人は助けてやる。

陽が落ちる前に逃げろ、残りは全部殺すと、全て平仮名で書かれてあった。

 

 

感想

モンキーピーク5巻でした。
面白度☆9 醜さ度☆9

最初から5巻までずっとおもしろさを維持してるって、かなり凄いことだと思います。

ストーリーものだとそれなりにだれたりしますが、緊張感が維持されていますし、人間同士の争いも激化して最高です。

やっぱり長谷川かという思いではいますが、いくらなんでも分かり易すぎるので、ちょっと捻りが欲しい気もします。でも、動機によって左右されるところでもありますね。