信者に囲まれ、取り押さえられそうになったその時、いつもより生気がなく見えた環が動き、一切の躊躇いなく先頭の男の前に進み、スタンガンで昏倒させた。

 

凶器を持って襲い掛かってくる一人にも躊躇わず距離を詰め、いともあっさりとスタンガンを当てた。

著者名:ナガテユカ 引用元:ギフト±12巻

 

 

残り一人になったヌクイは環の躊躇いの無さと恐怖を感じている様子が無いのを見て、まるでAIのようだと評し、羨ましがった。

 

 

元々大学病院の外科医だったヌクイは、それなりの地位と名声を得ていた。

 

しかしある老人の心臓手術の最中、この患者を世話しなければならなくなる子供や孫のことが頭によぎり、自己中心的でしかない正義感のせいで、医療事故を起こし、医療界から追放されたのだ。

 

そうして医者としての再起の道が断たれた時、羊狩りを首謀する尊師と会って、正義感を満たせる場所を与えられた。

著者名:ナガテユカ 引用元:ギフト±12巻

 

 

だが環は長々とした話に興味は無く、同じように躊躇わずスタンガンで昏倒させた。

 

 

 

その直後、アジトの山荘が燃えている灯りに気づいたシイナが全速力で引き返していった。

 

 

一人その場に残された環は、狙撃でスタンガンを破壊され、忍び寄った何者かにまた拉致されてしまった。

 

それは、二重スパイとして暗躍している梨世だった。

著者名:ナガテユカ 引用元:ギフト±12巻

 

 

梨世は取引先のアメリカに環を渡して大陸に渡ろうとしたが、ある理由で契約が打ち切られたと知らされ、進退窮まっていた。

 

そして、気絶させられたフリをしていた環の目覚めに気づくのが遅れた。

 

 

走行中にサイドブレーキを引かれた梨世は側壁に激突し、気を失っていた。

 

 

いち早く現場に到着したのはリュウで、危険も顧みずに事故を起こして車を止めた環に恐怖するが、気絶している今、首に手をかけて殺そうとした

著者名:ナガテユカ 引用元:ギフト±12巻

 

 

年齢や見た目にそぐわない躊躇いの無さは、出会った時から恐怖でしかなかった。

 

しかし、無意識に彼女が流した涙を見て、この場での殺意が消えた。

 

そして、加藤に環の居場所を知らせて引いたのだった。

 

 

 

宗教団体の山荘が家事になった事件は、世間の注目を引き、同情的な目が注がれた。

 

放火はシイナの仕業だったが、尊師である曹に見抜かれ、結果オーライな状況になったことを褒められながら、激しく抱かれて身悶えていた

著者名:ナガテユカ 引用元:ギフト±12巻

 

 

天廻功で自由を得て、女性信者を食い、臓器を抜いていたヌクイは結局、シイナに上を行かれ、クジラとして環の前に晒されたのだった。

 

 

 

梨世を捕まえたタカシは、しかし裏切っていた制裁を加えるでもなく、別荘に軟禁するだけだった。

 

酒と煙草ばかり飲み、自暴自棄になってやさぐれている梨世は何をされても受け入れると喚くが、タカシはキスで喚き散らす唇を塞いで黙らせた

 

 

裏切られていると気づいていなかった頃と同じように愛撫し、後ろから突き入れる

 

すると、梨世も演技ではなく淫らに喘いだ

 

環に執着していても、梨世を特別な女として抱いていたタカシは彼女に非情になり切れず、今はただひたすらに求め合って相性のいい身体を貪り続けた

著者名:ナガテユカ 引用元:ギフト±12巻

 

 

そして、梨世が曹と出会った経緯と、彼女が大空を羽ばたくのを夢見ていた籠の中の鳥だったのを知らされた。

 

 

感想

ギフト±12巻でした。
面白度☆8 女の子度☆8

12巻は割りとサーっと読める内容でしたが、それぞれの女性の思惑というのが、瑞希がいなくても結構濃かったように思います。

同じ人が作り上げた新興宗教に傾倒する心理はよく理解できませんが、縋れるものがあるというのは大助かりすることもあるのでしょうね。