とある小さなアパートの一室に住んでいる堀口少年は、黒い金魚を飼っていた。

 

その金魚は死んでしまっていて、もう何度目かのことだった。

 

母親は驚き、世話をしている息子を責めるような言葉を出し、少年は基本的にやるべきことは全てちゃんとやっていると言い返し、死んでしまうことに疑問を抱いた。

著者名:黒澤R 引用元:グランドジャンププレミアム2018年7号

 

 

母は逆にちょっと汚い水の方がいいのではないかと、それっぽい意見を言うが、それは一昔前の間違った常識だと一蹴され、もっと大きい水槽を買ってほしいとねだられた。

 

しかしそれは、飼う時に決めた約束があったから許さなかった。

著者名:黒澤R 引用元:グランドジャンププレミアム2018年7号

 

 

少年は死んだ理由を知りたくて縋るが、母は適当にあしらい、仕事に出かけていった。

 

 

自転車で現場に向かいながら、金魚にこだわることをみみっちいと蔑み、別れた夫に似てしまった一面に愚痴を零した。

著者名:黒澤R 引用元:グランドジャンププレミアム2018年7号

 

 

堀口の仕事は家事代行サービスだった。

 

いつも依頼してくれる立派なマンションに住んでいる愛想の悪い男の一人暮らしの部屋に行って愛想よく挨拶をし、さっそく掃除を始めると、金魚鉢をゴミとして分別しておいて欲しいと頼まれた。

 

思わぬ共通点に堀口は息子が金魚にハマっていることを話し、あれこれとねだられそうで困っていると笑い話にして話した。

 

欲しがっているからと言って、ホイホイ買い与えるのは教育に良くないし、そもそも経済的にそんな余裕はないと零した。

著者名:黒澤R 引用元:グランドジャンププレミアム2018年7号

 

 

すると男は、万札を5枚も握らせようとしてきた

 

さすがに堀口は断ろうとするが、心づけだと言われ、すぐに会社の規定でチップ的なものに何も触れられていないのを確認し、安心して受け取ることにした。

著者名:黒澤R 引用元:グランドジャンププレミアム2018年7号

 

 

ただ金魚の飼育用品は買ってあげていないにしても、100円のカードゲームはちょこちょこ買ってあげているという。

 

すると男は、そんな安いおもちゃじゃ他の家の子に劣等感を抱く原因になるし、息子はきっと学校でいじめをしているだろうと指摘した。

 

心当たりがあった堀口が何も言えないでいると、さくらの元夫の卓哉は自分もそうだったと打ち明けた。

著者名:黒澤R 引用元:グランドジャンププレミアム2018年7号

 

 

経済的な面で周囲の子と比べて劣等感を抱いていた卓哉。

 

家が貧乏だったというわけじゃなく、親は自分の趣味にはお金を使うが、自分にはお金を使ってくれないことに疑問と寂しさを感じていた

 

 

堀口は、自分の家は夫の浮気で離婚したが養育費の払いが悪く、シンプルに貧乏だからだという。

 

ただその大人の事情を息子に話していなかった。

 

卓哉は、そういう大人の事情を知らない子供は自分に原因があると思ってしまうものだと答えた。

著者名:黒澤R 引用元:グランドジャンププレミアム2018年7号

 

 

堀口は苦笑いし、卓哉は問題なく十分に経済力がある立派な大人になっているだろうと言い返した。

 

すると卓哉は、元妻に酷い暴力をしてきたDV男だと白状した。

著者名:黒澤R 引用元:グランドジャンププレミアム2018年7号

 

そして今は、妻に暴力を振るってしまう原因に見当がついていた。